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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
はんぶんこ④
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アパートまでの短い帰り道、並んで歩きながら晃はもう一度省吾に質問をした。
「なんで今年から俺が貰ったチョコは食べないんだよ?」
「……」
「あ、お前まさか、自分もいっぱい貰ったのか?」
からかい気味に頭を撫でると、首を振り晃の手を振り払う省吾。
「いっぱいじゃねぇ、けど貰った」
「へぇ、よかったじゃん」
軽く照れている様子からして、今までのような全開義理チョコじゃなく、本命チョコと併せて告白でもされたんだろうか。
「……あんな真剣な顔されるとビビる」
「ふうん、可愛かったのかその子」
「憶えてねぇ」
ひでぇなと少し笑った晃を、省吾は真っ直ぐに見上げた。
「でもなんかすげぇ、俺がちゃんと食べなきゃなって思った」
真剣な気持ちを汲み取っての結論なのだろうか。真面目顔の省吾が可愛くてたまらない。
「そか、そうだなあ。お前は甘い物大好きだしな」
よしよしと頭を撫でれば、やはり振り払われる。今度は両手で省吾の頭を押さえ、乱暴に髪をかき混ぜてやった。
「気持ちは大事だ、けどよく考えろよ。俺は甘い物が好きじゃねぇだろ? そんな俺が無理して食うより、チョコレートも美味しく食べてくれる奴の腹に入ったほうが嬉しいんだよ。女の子の気持ちはちゃんと俺の中で溶けて、チョコレートはお前の腹の中で溶ける。賞味期限が過ぎて捨てる羽目になったらそれこそ可哀相だと思わないか?」
「……」
黙ったままの省吾の背中を押し、階段を上がる。やがて小さな声で、じゃあ食べると聞こえてきた。
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