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……
「光輝さん…」
………
「愛してます、」
ずるい…
「なんで…なんで…そんな事……」
脚にヘドロが絡み付いたみたいに動かせない。
もう逃げられない。
「光輝さんが本気で好きだから伝えたかった。
あんな事してでも縛り付けたかった。
餓鬼みたいに自分の事しか考えらんなかった。
ただの自己満足ですよね。
気持ち悪いですよね。
でも、伝えたかった…」
古志の声は震えている。
何時も自信に満ちた声なのにこんな声…。
腕を掴む手が熱い。
ジリジリと照り付ける太陽よりも熱い。
汗か涙か、海水か、もうなにかわからないそれが頬を伝う。
「本当、ですか…」
「え、あ、はい。
泣かせてごめん…。
……ごめん。」
寂しげに吐き出された言葉は静かに海に溶ける。
熱い手が離れ背中を向けた古志くんの腕を、今度は僕が掴んで振り向かせた。
格好良い人は驚いた顔も格好良いんだな、なんて素っ頓狂な事を思ってしまう。
逃げない
「嬉しいんです…嬉しくて…、嬉しく、て……涙が、とまらないんです」
「せんせ…」
こんな事、教師として許される事じゃない。
同性愛。
でも、生物としておかしい話じゃない。
「うれし、涙、ですか」
「はい…」
「ははっ、俺も嬉しくて泣きそうです」
顔に付いた水滴を払う様に頬を滑る熱い手が気持ち良い。
綺麗に整った眉が八の字を描く。
それでも格好良いのだから羨ましい。
「キスしても良いですか?
駄目って言ってもしちゃいますけど。」
チュ…チュ…ッ
「古志く…っ、外…見られ、んんッ」
ジリジリと照り付ける太陽に見せ付ける様、古志くんは暫くの間キスをやめてはくれなかった。
ほんの少し、しょっぱかったのは海水のせいだったのか。
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