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「僕達の仕事は賢斗様の身の回りのお世話なんだけど、賢斗様は一人が好きな方だから、お呼びがかかるまでは賢斗様が使う部屋の掃除とかをするんだよ。それ以外は基本的に賢斗様の自室の前で待機するの」
「ふーん。暇そうだな」
「あはは、それがそうでもないんだよね。このお屋敷広いから、一部屋掃除するだけですごく時間がかかるんだ」
俺の言葉に瑞希が苦笑しながら答える。
とは言っても、俺の家だって相当広いが、使用人たちがそこまで時間をかけていた記憶はない。この俺のかかれば一瞬で終わるだろうとその時は考えていた。
......しかし実際にやってみると、それはそれは悲惨だった。
「えっと......もしかして、修弥って不器用?」
「うるさい!」
目の前に広がるのは最初より物が散乱した部屋。調子に乗って一人で出来ると粋がった結果、俺はこんな醜態を晒すこととなった。
隣からは瑞希の引きつった声が聞こえる。
「ま、まあ、初めてだからしょうがないよ!今度は一緒にやろう?」
「.......っ」
こんなんじゃあいつらのこと言えないじゃないか......。
今まで怒鳴ってきた数々の使用人を思い出して、俺は自責の念にとらわれる。ほこり一つで文句を言っていた自分が愚かしい。今現在、俺はあいつらより無能な存在だ。
「気にしないで。僕も最初の頃はダメダメだったんだよ」
無言で立ち尽くす俺に瑞希は笑いかけてくる。こんな無能な俺を笑って許してくれる瑞希の優しさが逆に俺の心をえぐった。だって、俺はいつだってあいつらを貶してたんだから。
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