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「なんで俺が、お前なんかの髪を洗わなきゃならないんだ!」
「ちょ、お前さぁ、もっと優しく洗えよ。ハゲるだろ」
「ハゲろ!!」
あのとき俺の視界が暗くなったのは、俺が気を失ったとかではなく、ただ単に賢斗に抱きしめられたからだった。
その結果、俺を庇った賢斗の腕が骨折し、現在俺は賢斗の身の回りの世話全てをやっている。
賢斗のちょうどよくついた筋肉が視界にチラついて気が気じゃない。恥ずかしさを紛らわすために、洗い終えた髪を引っ張れば賢斗は恨めしそうな目で俺を見る。
「おい、誰のせいで腕が使えなくなったと思ってんだ」
俺にはそうやって恩着せがましく言うけれど、他の人間には「自分が修弥を巻き込みながら落ちた」という嘘をつきやがった。俺が何度も本当のことを言おうとしても、決して言わせない。
庇ってくれたことには感謝している。......しているが、俺なんかを庇って怪我をした賢斗が許せない。だから俺はつい悪態をついてしまう。
「うるさい!元はと言えばお前がっ!!」
「あー、それ何なの?変態とか言ってたよな」
「......っ」
「なんか顔も赤いし、お前昨日から変だぞ」
俺が言うのを渋れば、賢斗は答えろと目で催促してくる。そんな賢斗にムカついて、俺は言ってやることにした。どうせ辱めを受けるのは賢斗の方だ。
「お前がっ、俺の写真をあんなところに置いとくから!!」
「写真......?」
「ベッドの下だよ!!」
賢斗はなかなか理解できないようで数秒黙って考えている。そして気がついたのか、ようやく口を開いた。
「......あ、やべ。最近本物いるから、写真の存在忘れてた」
その言葉に俺は悪寒がする。俺が極力考えないようにしていたことが、ほぼ事実に変わったからだ。
「お、お前っ、まさか本当にあれでっ......」
俺は肩を震わせながら賢斗に問いかける。すると賢斗は若干気まずそうに、しかしはっきりと口にした。
「あー......抜いてた」
「......っ」
無理。無理無理無理。
何が無理って、この場にいることが無理。
「あ、おいっ。待てって!」
賢斗の制止を無視して、急いで風呂から出る。焦り過ぎて足がもつれたせいか、ボクサーブリーフを着た賢斗にすぐに追いつかれて、俺が部屋から出る前にすかさず腕を掴まれる。もちろん骨折してない左手で。
「離せ、変態!!」
「なんで逃げるんだよ」
「俺をオカズにしてるやつと一緒にいれるわけないだろ!離せ!!」
俺がどんなにもがいても賢斗の腕はビクともしない。怪我人相手に本気で抵抗するはどうかと思うが、結局敵わないんだから関係ない。
「何でだよ。好きなやつのこと思いながらスルなんて普通だろ」
「すっ......!?」
す、好き?賢斗が俺を?
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