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「修弥?」
無言の俺に賢斗は心配そうな顔をする。それにさえも俺の心は締め付けられて、どうしようもない。
......どうしようもなくて、逃げるしかない。
俺は乱暴に立ち上がって、賢斗をこれでもかと言うほど睨みつけた。
「そうだよ!この俺がそんなこと言うわけないだろ!」
いきなり怒鳴った俺に、賢斗は怪訝な顔をする。
「は?お前、何怒って......」
「怒ってない!」
もう自分でも何がしたいのか分からなかった。分からないけど、イラついて喚き散らして、賢斗を困らせる。
「もうお前なんか、結婚でもなんでもしやがれってんだ!!このバカっ!!!」
俺がそう言い放つと、賢斗は顔を歪ませてから俯いた。
「......お前さ、引止めろってのは虫が良すぎかも知んねえけど、それは酷くねえ?俺はお前が好きだって言ってんだろ」
ゆっくりと顔を上げた賢斗の目は冷たく、声は低い。まるで感情を無理やり押し殺したかのようだった。そんな賢斗に少し怯みそうになるけれど、それでも俺は精一杯強がってしまう。
「そんなの知らない。お前が一方的に言ってるだけだ。俺には関係ない」
「本当に少しも俺のこと好きじゃねえの?この数週間で何も変わらなかった?完全に嫌い?」
この数週間、俺はいろんな賢斗を見てきた。しかし、賢斗は昔から何も変わってない。
俺様なところも。
完璧なところも。
努力家なところも。
周りから尊敬されるところも。
俺に優しいところも。
全部、昔から知ってたことだ。
尊敬して憧れて、追いつこうと必死になった。けど、頑張れば頑張るほど、現実が見えて来る。
どうやったって、俺は賢斗に追いつけない。
周りから比較される日々。俺が賢斗の近くにいることを納得しない者が数多くいた。釣り合わないと蔑まれ、笑い者にされた。
そんなの関係ないと言える強さは、俺にはない。
こいつの隣にいれば、俺はきっと胸を張って行きていけない。そんなのは耐えられない。
だから俺はこいつを憎み続ける。
「俺はお前が心の底から大っ嫌いだ。お前のせいで俺の今までの人生は最悪だった」
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