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昨日言われた通り、俺は凌真のもとで働くことになった。だから、あれから賢斗には会っていない。
瑞希から聞いたところによると、見合いはとても良い雰囲気だったらしい。交際に発展してもおかしくないと、そう言っていた。
......本当に俺のこと嫌いになったのかも。
おもわず唇を噛みしめると、ピリッと痛みが伴った。昨日から噛んでばっかりだったから、切れてしまったらしい。
「......っ」
「修弥?どうかしたー?」
間延びした声で俺を気遣うのは、ベッドに寝転がって漫画を読んでいる凌真だ。
漫画を読みながらも、俺のちょっとした反応を見逃さない。凌真はいい加減そうな見た目に反して、鋭いところがある男だった。
「いや、ちょっと唇が切れただけ」
「唇?薬いる?」
「や、大丈夫」
「ふーん」
凌真はすぐにまた漫画に没頭して、俺は掃除を続ける。
凌真の専属になった俺は、賢斗のときよりも執事らしく仕事をしていた。
朝起こして、朝食の配膳をして、くつろぐ凌真に茶なんか入れたりして。現在は昼食を終えて、凌真の自室を掃除中。凌真は結構人使いが荒くて、すぐにものを頼んでくるから、朝からほとんど付きっきりで凌真の世話をしている。
「修弥ー、次5巻取ってー」
「お前......そんぐらい自分で取れよ」
文句を言いながらも、仕事だからと仕方なく本棚から漫画を取って凌真に渡せば、それを受け取った凌真はページをめくりながら口を開く。
「.......よくやるねー」
「は?」
「朝からずっと働きっぱなし。俺相手なんだから、もっと手抜けば?別にチクッたりしないよ?」
「......別にそんな心配してない」
途中でやめたら負けたみたいで悔しい。それに、そんな中途半端なことをしたら、ますます自分を誇れなくなるような気がして、怖かった。
「まあ、修弥はそういう人間だよねー。一度やると決めたら絶対投げ出さない、負けず嫌いなバカ」
「うるさい」
ケラケラと笑う凌真を軽く睨んで、掃除を再開する。
しばらく静寂に包まれ、それを破ったのは凌真が本を閉じる音だった。
次は6巻を取れと言われるのかと思って本棚の方へ移動したが、凌真の口から出たのは違うことだった。
「なんで兄貴と喧嘩したの?」
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