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「......あいつとは幼なじみで、小さい頃からよく一緒にいました」
「仲がよろしいんですね。羨ましいです」
微笑む美玲さんに俺は首を振る。
「そうだと良いんですが.......俺はあいつに嫌われてるので」
「......なぜ、ですか?」
「俺といることが嫌になったんだと思います。俺の近くにいれば、批評されてしまいますから」
皇家の長男と付き合うのにふさわしい人間かどうか。
俺の親戚にはもちろん、関係のない人間にまで好き勝手言われて、修弥がどれだけ傷ついていたことか。気づいていたのにかばってやれなかった自分が憎い。
「それでも......嫌われていても、お慕いしているのはなぜですか?」
「......あいつは俺が皇家の人間でも臆することなく向かってきたんです。他の人は俺の家を見ているなか、あいつだけは俺自身を見てくれた」
他のやつらが「さすが皇家のご長男」と言うところを、修弥は「賢斗すごい!」って言ってくれた。
俺の真似できるように必死に練習してる姿はすごく可愛いかった。
俺を敵対視するようになってからも、修弥の目には俺しか映っていなかったから、嬉しかったと言ったら、あいつはもっと俺を嫌うのだろうか。気持ち悪いと罵るかもしれない。
それでもあいつの意識が俺に向くなら、本望というものだ。
「......その気持ち分かります。私も周りの方は父のことしか見ていませんから」
美玲さんはしみじみとそう言い、優しく微笑む。
「良い方なのですね」
「......はい。とても」
そう言って、俺たちは笑いあった。
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