アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
31
-
そのまま無理やり店の中に連れていかれ、店員に案内された部屋の前には瑞希が立って控えていた。
「瑞希。中の様子はどう?」
「え、凌真様!?修弥も......なんでここに?」
凌真が声をかけると瑞希は驚いた様子を見せる。凌真に腕をがっちり掴まれた俺をまじまじと見つめてくるから睨みつけると、肩をびくっと震わせて苦笑いをした。
「で、どんな感じ?」
「えっと......なんか婚約がどうとか、聞こえて来ました。笑い声とかも聞こえて、楽しそうです」
そう話す瑞希をつい思いっきり睨みつければ、凌真に頭を軽く叩かれる。それが気に障った俺は、凌真に食ってかかった。
「何するんだよ!?」
「別に瑞希が悪いわけじゃないじゃん」
「そうだけど!」
「しゅ、修弥、凌真様にそんな口......」
「あ"あ!?」
「ひぃっ、ごめんなさい!!」
そんなこんなで騒いでいれば、中にも聞こえるわけで。扉が開いて、中で見合いを楽しんでいたはずのあいつが顔を出す。
「なんだ騒がしいな......ってどうしたお前ら」
賢斗は俺たちを見て眉をしかめる。なんだかばつが悪くて賢斗から目を逸らせば、後ろからのぞいていた見合い相手の女と目があった。その女はにこりと笑って頭を下げる。
「ご機嫌よう」
「......」
挨拶する気も起きなくて目を逸らせば、賢斗が俺を咎める声を出した。
「おい、修弥。失礼な態度とるな」
俺は皇家の執事という設定だから、その反応は当たり前だ。態度の悪い使用人を叱るのは主人のつとめ。
けど俺はそんな風に接して欲しくない。二人きりの時みたいに、前みたいに、笑って欲しい。
「すみません。美玲さん。後でよく言っておくので」
「いえいえ!お気になさらないでください」
親しげに話す二人を見て、胸がぎゅうっと締め付けられる。まるで、もう俺が入る隙はないのだと見せつけられているようだ。
......どこで間違ってしまったのだろう。
俺はずっとこいつの隣で胸を張れるように頑張って来たのに。こんなはずじゃなかったのに。
「......なんで......」
「あ?」
「なんでだよ......俺はっ、俺はお前の執事なんかじゃない!!」
そう叫んで逃げ出そうとした俺の背中にかかったのは、意外な人物のものだった。
「そうですよね!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 185