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やっと言えた。
これであとは俺が振られれば終わる。自覚した途端に振られなきゃいけないなんて酷い話だけど、今まで俺が賢斗にしてきたことを思えば当然の結果だ。
けれど賢斗は一向に振る様子を見せず、俺をじっと見つめてくる。
「ほんとか......?」
「う、うん」
「ほんとにほんと?」
「本当だって......」
「ほんとにほんとにほんとなのか?」
「あーもう!うるさいな!!こんな嘘つくわけないだろ!!振るなら早く振れよ!!」
何度も確認してくる賢斗に嫌気がさして、俺は思わず怒鳴ってしまう。辛いことはさっさと終わらせて帰りたい。そして鳴上に一晩中愚痴って、慰めてもらうつもりだった。
だけど賢斗は、理解ができないという顔で首を傾げる。
「振る?なんでだよ。そんなことするわけねえじゃん」
「え?だってお前、俺のこと嫌いになったんじゃ......」
「はぁ?んなわけねえだろ。何年想ってると思ってんだ。バカかお前」
俺は大真面目に言っているのにバカ呼ばわりされて、俺は賢斗を睨みつける。
「ああ!?バカってなんだよ!!お前、俺の顔見たくないって言ったじゃん!」
「そりゃあ、叶わない相手の顔なんて辛くて見てらんねえだろ」
「......っ!でもっ、あの女と婚約したんだろ!?」
「あー、それ多分凌真の嘘だわ。俺は今日断ってくるって送ったんだよ」
「はあっ!?」
俺だけ状況分かってなくて、一人で突っ走ったってことか?凌真の思惑通りに?
......まじありえない。
あの無気力な顔でピースをしている凌真を思い浮かべて唇を噛みしめる。俺は、もう噛まないって決意をたった数分で破ってしまった。
騙されたことへの悔しさや羞恥心から肩が震える俺だけど、賢斗は上機嫌にニヤリと笑った。
「凌真もたまには気が効くじゃねえか」
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