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唇を重ねた瞬間、ピリッとした痛みが走り、俺は自分の唇が荒れていることを思い出す。
慌てて顔を離そうとするも、賢斗の左手は俺の頭の後ろにまわっていて、ビクともしない。何度ももがくと、賢斗はやっと手を離して首を傾げた。
「どうした?」
「俺っ、唇切れてるっ」
口を腕で隠して涙目になる俺に、賢斗は可笑しそうに笑った。
「なんだ、そんなことかよ」
「そんなことじゃないだろ!!」
俺にとってはファーストキスだったのに、初めてがこんなのなんて思い出したときに恥ずかしくて死ねる。
そんな人の気も知らないで、賢斗は俺の口を隠す腕をつかんで下ろしてから、唇に触れた。
「俺は気にしねえけどなぁ」
「俺が気にするんだよ!」
俺が怒って賢斗の手を払えば、「ロマンチストかよ」と笑った賢斗が、俺の耳元でとびっきりの甘い声を出す。
「じゃあもう噛むの禁止な。これからはお前だけの唇じゃなくなるんだから」
「なっ!?何バカ言って......んっ」
どっちがロマンチストだよと言いたくなるようなキザな台詞を吐いた賢斗の膝から降りようとすれば、それより先に賢斗の左手が俺の頭を掴み、再び唇を塞がれてしまった。
「ん......んん.......っ」
俺が逃げようとしても決して離さない。賢斗の力強さと、匂いと、感触で、頭がくらくらする。
......キスがこんなに気持ち良いものだったなんて知らなかった。
「......ぷはっ」
長いキスが終わると、賢斗は唇をペロリと舐めて、口元に弧を描く。
「ふっ......少し血の味して、興奮する......」
恥ずかしさでいっぱいいっぱいだった俺が、気色悪いことを言った賢斗の頭を叩いて部屋から逃げるように出て行ったのは言うまでもない。
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