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「って、俺のことはどうでもいいんだけど。君の話をしなさい。クソガキ」
「いったぁっ!」
いつの間にか目の前に来ていた高杉が、思いっきり俺の頬を引っ張った。俺は涙目で抵抗するも、なかなか離してくれない。
「ふっ。よく伸びる。ほんとガキ」
「かきはかんけいなひらろ!!」
ガキは関係ないだろ、とまともに言えず、さらに高杉は吹き出す。その様子を思いっきり睨みつければ、ひとしきり笑った高杉がやっと手を離した。
「ほら、言いなよ。先生が相談乗ってあげるから」
「......」
「早く。こっちは忙しいんだけど?」
こいつは普段はやる気はないけど、生徒に実は慕われてたりする。ガキは嫌いだとか言って相談に乗ろうとするあたりがその原因なのだろう。
人って分からない......。
「......絶対誰にも言わない?」
「はぁ?言うわけないでしょ。どんだけ信用ないの」
生徒のことをクソガキ呼ばわりする教師に信用なんかある訳ない。
......けど、なんとなく、本当になんとなく、言ってもいいかなと思ってしまい、俺は口を開いた。
「俺、訳あって使用人やってて」
俺がそう言うと、馬鹿を見るような目で見られた。当たり前だ。大企業の社長の息子が何やってんだって、誰でも言うと思う。
けど、高杉はそれを口にせず、黙って先を促してくれた。
「で、友達になったやつがいるんだけど......その友達になったやつは、俺の正体を知らなくて、最近それがその友達になったやつにバレて、」
「ちょっと止まれ、クソガキ」
「いっへぇ!」
さっきは黙って聞いててくれたのに、再び頬を引っ張ってきた高杉。睨みつければ、呆れた顔で俺の頬から手を離す。
「その、友達になったやつって何回言うつもり?まどろっこしい。どうせ分かりゃしないんだし、名前を言え。名前を」
「......瑞希」
「え?」
俺が渋々そう言うと、高杉は目を丸くして聞き返してくる。痛い頬にイライラしていた俺は、大きな声でもう一度言ってやることにした。
「だから、瑞希!久野瑞希!!」
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