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目が覚めたら、賢斗は横にいなかった。
「賢斗......?」
焦って急いでリビングに行けば、目に見えた光景に肩をなでおろす。
......良かった。
まだ日が昇っていない薄暗い空間の中に、窓の外を見つめる賢斗がいた。
俺に気付いた賢斗が振り返って、首を傾げる。
「どうした?そんな慌てて」
「......いや、べつに」
昨日までの変な雰囲気はなく、いつも通りの賢斗にほっ
とする。
手招きをされて、横に行けば、頭を撫でられた。
「おはよう」
「おはよ」
挨拶を交わせば、賢斗は微笑む。
俺の好きな顔だ。
「ちょうど良かった。今、起こしに行こうと思ってたんだ」
「何で?まだ、早いだろ?」
「見せたいものがあるんだよ」
賢斗が「もうそろそろだ」と指差した先に目を向けてしばらく経つと、光が差し込んでくる。
その光景に、俺は釘付けになった。
「凄い......」
「綺麗だろ?」
「うん」
海から顔を出した太陽が、眩しくて、キラキラしてて、この世にこんなに綺麗なものがあったのかと感心する。
しばらくすると、太陽が完全に海から出て、昨日来たときの普通に綺麗な景色に戻ってしまった。
「これ見て、ここ気に入ったんだよな」
「凄く綺麗だった」
食い気味にそう返すと、賢斗は満足げに笑う。
「はは。修弥も気に入ったみたいだな」
コクコクと頷くと、また頭を撫でらた。
余韻に浸っていると、賢斗が「じゃあ」と口を開く。
「良いもん見れたし、そろそろ帰るか」
「こんな早く?」
「ああ」
次の言葉は、まるで夢から目覚めさせるかのように、俺の心を現実へ引き戻した。
「今日は、父さんと母さんが帰ってくる日だからな」
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