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俺は、瑞希や他の使用人に挨拶する間も無く、鳴上と共に皇家から追い出されることになった。
部屋の外に待機していた鳴上は、宗太郎さんの顔を見た瞬間全てを理解したようで、すぐに荷物をまとめて俺を車に乗せようとする。
乗らされまいと、俺は必死に抵抗した。
「嫌だ!離せ鳴上!離せ!!」
「修弥様。ご理解ください」
「嫌だ!!!」
出て行ったら、もう賢斗に会えなくなってしまう。
皇家のセキュリティは、うちのとは比べ物にならない。
宗太郎さんがもう二度と会うなと言えば、絶対に会うことは出来ないだろう。
そんなのは嫌だ。絶対に嫌だ。
「賢斗!賢斗!」
一応見送りということで、外まで来た賢斗と宗太郎さん。
俺は鳴上に押さえられながら、何度も賢斗の名を呼ぶ。
それなのに賢斗はただ拳を握って黙っているだけだった。
「賢斗、もう中に入りなさい」
「やだ!待って、賢斗!!賢斗!」
宗太郎さんに促され、家の中に戻ろうとした賢斗が足を止める。
「父さん。最後だから、家まで送らせてほしい。......お願いします」
「......逃げない保証はないだろう」
「帰って来ます。必ず」
「......はあ。仕方がない。すぐに戻りなさい」
「はい」
一人で家に戻った宗太郎さんに頭を下げた賢斗が、俺に寄ってくる。
「賢斗......?」
すがりつく俺に、賢斗はただ微笑むだけだった。
「行くから、乗れよ」
「や、やだ......行きたくない!」
「いいから乗れって」
少し強引に車へ押し込まれる。
こんな時でさえも、俺が頭をぶつけないように、扉の上の部分を手でかばってくれた。その優しさが、今は切なくて、声が出ない。
「鳴上さん、運転お願いします」
「......かしこまりました」
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