アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
148
-
何だか、賢斗との最後の喧嘩がフラッシュバックして、俺は思わず鳴上の袖をひいた。
「あ......鳴上。ただ話してただけだから、帰ろう?」
「......はい。修弥様がそうおっしゃるなら」
俺の言うことに素直に従う鳴上が財布を取り出す。
けどすぐに賢斗がそれを止めた。
「いらないですよ」
「ですが、」
「これくらい払えます。てか、仕事見つかったんで、大丈夫です」
「......?どういうことだ?」
意味が分からなくて尋ねれば、賢斗は気まずそうに答えた。
「あー......カードも通帳も止められてんだよ。何とか飛行機は乗れたけど。つか、俺が稼いだ金止めるとか、何考えてんだよ」
最後の方はブツブツと文句を言う賢斗。
その様子で、なぜ賢斗が今さら俺の前に現れたのかが分かった。
「お前まさか、無理やり来たのか!?」
「だってよー、何年仕事しても次々違う仕事持って気やがるんだぞ。監禁みたいなこともしやがるし、約束がちげえっつうの」
「皇の家から逃げられるわけないだろ!おとなしく帰れ!」
「は?やだよ、あんな生活。てゆうか、俺は駆け落ち覚悟で来たけど?」
「......っ」
もう。何でそうゆうこと言うんだよ。
......本当に自分が嫌になる。
「......とにかく、俺は鳴上と付き合ってる。春からは二人で暮らすし、お前の入る隙なんてない」
「......修弥」
「俺たちは帰る。お前もさっさと帰れ」
「そうだなぁ......」
案外素直な賢斗に、少し寂しくなった。俺にはそんな資格なんてないのに。
けど、次の言葉でそれは覆される。
「じゃあ帰るか。一ノ瀬の家に」
「......は?」
「ん?明子さんから聞いてねえの?」
「いや、何を?」
「俺の新しい勤め先、お前ん家」
「はあああ!?」
あまりの衝撃に、ここがカフェだということを忘れて叫んでしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
148 / 185