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何分経ったのだろうか。
やっと解放された俺は、唇を袖で何度も拭った。
唇がヒリヒリと痛んでも、拭わなきゃいけないと、何度も何度も。
「おい、そんなにしたら荒れるぞ」
「触るな!」
俺の口へと向かってくる指を払う。
乾いた音が響いた。その音にまた胸が苦しくなる。
「な、なんで......何で、こんなこと!」
「理由なんか分かってるだろ」
「......っ。もうやだ......俺が悪いのに......」
俺は賢斗から遠ざかるように、何歩も後ろに後ずさった。
ここから逃げたい一心で何歩も何歩も。
「修弥?おい、そっちは......」
「うるさい!うるさいうるさいうるさい!......え」
最後に踏み込んだそこには床がなかった。
......ちょうど良い。
なんて馬鹿なことも思ったりした。
けど、急いで駆け寄って来た賢斗が必死で手を伸ばすから、俺も賢斗の方へ手を伸ばす。
懐かしいな......また、賢斗怪我しちゃうかな......賢斗が傷付くのは、もう......やだな......。
手に確かな感触を確かめた瞬間、俺の目の前は暗闇に包まれた。
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