アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
155
-
シンとした部屋。
賢斗の呼吸だけが微かに聞こえる。
俺はベッドの横に置いてある椅子に座って、賢斗の寝顔を眺めた。
何で俺なんか毎回毎回助けるんだ。
そのせいでいっつも怪我して、ほんと......
「馬鹿......」
「誰が馬鹿だって?」
「うわあ!?」
突然開いた目に、大声を出す。
そんな俺を見て、賢斗は嬉しそうに目を細めた。
「身体、大丈夫か?」
「あ、ああ」
「そっか、良かった」
ホッとしたように笑う賢斗に胸が苦しくなる。
何で、最初に俺を心配するんだよ。
お前が守ってくれたおかげで、痛いとこなんか一つもない。
賢斗の方がずっと痛いはずなのに、俺が無事だって分かって何でそんなに幸せそうに笑う。
「......馬鹿だろ」
「ん?」
「お前を裏切った俺に、身体まではって何になる?」
「またその話かよ。俺は気にしないって言ってんだろ」
「俺が気にするんだよ!!!」
病院だってことを忘れて大声で叫んだ俺の頭を、いつの間にか上体を起こした賢斗が撫でる。
「お前さ、自分責めすぎ」
「なにがっ」
手を振り払おうとすれば、賢斗のもう片方の手でそれを制止された。
どうしようもなくて睨みつければ、賢斗が苦笑を漏らす。
「お前が思ってるほど、修弥は悪くねえよ」
「そんなわけ......」
「あるんだよ。全部俺が悪い。修弥を置いて行ったのも、鳴上さんに修弥のことを頼んだのも全部俺だ」
「は?何それ......鳴上に俺と付き合えって?」
「いや、それは鳴上さん次第。だけど、俺に止める権利はないし、もちろん責める権利もない」
よく分からない。
俺のことが好きなら、あのとき一緒にどこかへ逃げて欲しかった。
何で、俺のことを他の人間に託せたのだろう。
「賢斗は、俺のことが好きじゃなかったのか......?」
自然と疑問を口にしていた。
しまったと気付いた時にはもう遅くて、賢斗は首をかしげる。
「どういうことだ?」
「......俺は何がなんでも一緒にいたかった。離れたくなかった。好きってそういうことだろ?なのに......なのに何で、賢斗は俺と離れた?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
155 / 185