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どうやら瑞希は、賢斗が海外に行くときに、完全に高杉の家へと帰ったらしい。
「賢斗様がそうしろ、幸せになれって言ってくれて。もう皇家の使用人じゃなくなったから、修弥に会っても良いかなって思ったんだけど、賢斗様が我慢してるのに、僕だけ会うのはなって......なかなか連絡出来なくてごめんね」
「いや......」
コーヒーを一口すする。
俺が話しずらそうにしてたら、まずは二人の六年間のことを教えてくれた。
大体のことを聞き終わると、今度は俺の番だ。
「......それで?君は何を悩んでるわけ?」
現在、研究に没頭してるらしい高杉は、さすが元教師と言うべきか、俺が言いやすい雰囲気を作ってくれる。
「......今、鳴上と付き合ってるんだ」
散々焦らしたから、そろそろ言わなきゃと思って、頑張って声を出した。でもやっぱり、俺の声はかっこ悪く震えた。
俺の言葉を聞いた二人は、黙って聞いててくれる。
「俺......賢斗のこと待てなくて、それで......でも、やっぱり、忘れられなくて......もう決めた、けど......なんて言えばいいか......」
あまり上手くまとめられなくて、すごく分かりずらかったと思う。
けど高杉は理解してくれて、俺に言葉を投げかけてくれる。
「素直に言いなよ」
「え?」
「人の気持ちが変わるなんてよくあることなんだし、そんなことで責めてたらきりがない」
「......でも」
「君が我慢して何になる?そのままじゃ、君も、執事も、皇も、皆辛いままでしょ」
「けど、だからって、鳴上だけ傷つけて......」
「良いんだよ。その執事だって、君がどれだけわがままなのかなんて分かってる」
だって、と高杉は言葉を続けた。
「何年もずっと一緒にいたんでしょ?」
16年。
俺と鳴上は一緒に過ごしてきた。
喚いて泣いて、散々迷惑かけても、ずっと側にいて。
その思い出は恥ずかしいことも嫌なこともあるけど、でも全部大切なもの。
大事な人。
鳴上は、俺の大事な人だから。
「俺......行ってくる......」
俺のその言葉に高杉は無言で頷いた。瑞希もその横で、コクコクと首を縦に振る。
俺は二人に頭を下げて、鳴上の元へと向かった。
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