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「ん......けん、と......?」
「おはよう、修弥」
目を覚ますと、薄い暗闇のなか床に座ってる賢斗が、俺が寝ているソファに背を預けていた。
「おはよ......けど、何で......?」
さっきまでずっと寝室にいたはずなのに、どうしてリビングにいるのだろう。
首をかしげると、賢斗は微笑んで頭を撫でてくる。
「もうすぐだぞ」
「え......」
賢斗が指差す方向を見ると、徐々に光が差してきた。
あの日みた、綺麗な朝焼け。
「.......」
俺は言葉が出ないほど、その景色に釘付けになる。
「やっぱり綺麗だな」
「うん......けど.......」
「ん?」
「前よりずっと綺麗だ」
あの日みたそれよりも、もっとはるかに輝いて見える。
「......あの日より、ずっと」
いつの間にか登りきった朝日が、爽やかに部屋の中を照らす。
そんななかで、賢斗の指が俺の顎をすくい、唇を重ねられた。
この空気に合う、爽やかで幸せなキス。
「......俺も同じこと考えてた」
唇を離した賢斗が、俺の横に座る。
肩を寄せて手を握り合う。
何気ないそんなことが、全部キラキラして見えた。
「なあ、修弥」
「ん?」
「結婚するか」
「へ......?」
いきなりのことに戸惑う俺。
そりゃ、出来るもんならしたいけど......。
「なに言って......出来るわけないだろ」
「役所で婚姻届もらって、それ書いてから修弥の両親に挨拶しに行こう。それから、知り合いの牧師に頼んで、愛の誓いをするんだ......法律では駄目でも、それくらいはいいだろ?」
「......っ」
どうしよう泣きそう......。
頑張って堪えようとしたけど、嬉しすぎて涙が勝手に溢れてくる。
その雫を指ですくった賢斗が、綺麗に微笑んだ。
「俺の嫁さんになれよ、修弥。絶対幸せにする」
憧れて、勝手に逃げて。
なぜか執事になって、恋に落ちて、また離れて。
また会えたけど、たくさん傷つけた。
けど、そんな俺でも、好きだと言ってくれる人がいる。
大好きな人に言われたら、そんなのもう......。
「なるに決まってるだろ......ばか」
どうか、わがままで傲慢な俺を許してくれ。
素直になれなくても、賢斗のこと本当に凄く凄く。
『愛してる』
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