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After 8 years:高杉×瑞希
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「ご主人さまっ。すごいですこれ。こんなに多いのに安すぎます!」
スーパーで特売品を見てはしゃぐ瑞希。
それが微笑ましくて、つい外だということを忘れて、頭を撫でてしまう。
「別に値段とか気にしなくて良いのに」
「駄目です。ご主人さまの大事なお金ですから」
数年前までは研究ばかりだったけど、今はまた学校でも働いているから、お金に困ることはない。
それなのに瑞希はいつも節約を心がけている。
なんて立派な妻なんだ。ああ......可愛い.......。
「ご主人さま......?」
もう瑞希も三十歳だし、可愛い歳ではないのは重々承知している。
けれどやっぱり瑞希は可愛い。
「はあ......瑞希......どうしてそんなに可愛いの」
「か、可愛くないです......!僕だってそろそろおじさんだし......」
商品を持ちながら、しゅんとしている瑞希が可愛い。
「何言ってるの?瑞希がおじさんになるわけないでしょ」
「で、でも、最近身体が.......」
「ああ......疲れやすい?それは仕方ないよ。俺が瑞希の若さを吸い取っちゃってるから」
「ほえ.......?」
「ほら。今日は瑞希からもらったものをたっぷりお返しするから、早く帰ろう」
「.......はい」
こんな公共の場所で良い大人が、何バカなこを言ってるのかと思われるかもしれない。
けど、ガキみたいに何でも恐れるのはやめた。
14年前のあの日。瑞希にが戻って来てくれた日。
瑞希にはなんでも話して、なんでも一緒に考えるって決めたから。
「そういえば、修弥たち元気ですかね」
帰路でふと瑞希がそんなことを言い出した。
「さあ......まあ、元気なんじゃないの。彼はバカだから」
「もう、ご主人様ったらまたそんなこと言って」
そう言って困った顔をする瑞希も可愛い。
そんな可愛い瑞希と一緒に居られるのは、あのガキどものおかげだってこと、もちろん忘れてはいない。
どうやら俺は、ガキは嫌いだと言いながら、実は好きな方だったらしい。
だって、ガキどものまっすぐな思いは大人をも越えるだなんて、ものすごく興味深いことだから。
でもやっぱり。
「瑞希、好きだよ」
「......っ。えへへ......僕もです」
そう言って可愛く笑う瑞希が、一番興味深くて。
一番、愛してる。
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