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After 8 years:賢斗×修弥
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*
二人の家に、今日も修弥の声が大きく響く。
「くそ!また上半期の売り上げで負けた!」
「そんな悔しからなくても、たった少しの差だろ」
「少しでも、負けるのは嫌なんだよ!」
あれから、修弥は若くして社長に就任し、俺も自分の事業が日本でも成功した。
お互い社長の身になっていい大人なのにも関わらず、今日も今日とて、修弥は負けず嫌いだ。
「くそ......何で勝てない?何が悪かった?社員だって皆頑張ってた......」
「たっく......だいたい、俺に勝とうとするなんて、お前馬鹿だなぁ」
「はあ!?」
憤る修弥の顎を掴み、顔を上げさせる。
「んっ......ん......んぅ.......は、離せ!」
どんっと胸を押されて止むを得ず離れる。
昔はこんなことなかったのになぁ......。
「お前さぁ、鍛えるのやめろよ」
「はあ?何でだよ!せっかくお前に追いついてきたのに」
「だからさぁ.......お前は俺の嫁だろ?」
「え、ちょっ......」
修弥の腰を引き寄せ、軽く撫でる。
なすすべをなくした修弥は俺を睨むが、そんなの可愛いだけだ。
「夫の俺が嫁さんに負けたら、そんなの惨めじゃねえか」
修弥の手を取って、指輪に口付ければ、修弥の顔は真っ赤になる。
「だ、だって.......悔しいし......。それに!売り上げは、俺が勝ったら何でもしてやるってお前が言うから......!」
「あ?何お前、なんかして欲しいことあんのか?」
そういえば、売り上げで勝負しようって修弥が言ったとき、そんな約束をした気がする。
修弥は特に物欲はないし、あっても簡単に自分で買える。何が望みだろうと考えていると、修弥は真っ赤な顔をうつむかせて、おずおずと言う。
「け、賢斗に......執事やらせようと、思って......」
「はあ?」
「だ、だって!俺は何ヶ月かお前の執事だったのに、お前は数日でやめただろ!!」
「......今更じゃねえ?」
八年間その思いを抱えてきたのだろうか。
もしそうだとしたら、馬鹿すぎるし、可愛すぎだろ。
「う、うるさい!だってこんなこと、罰ゲームかなんかじゃなきゃ、言えないだろ!!」
「うーん......」
修弥が望むなら別に、執事服着て修弥様って呼ぶくらいしてやってもいいけど。
なんか可愛いし、その前にちょっといじってやるか。
そう思った俺は、修弥の腰をさらに強く引き、顔を近づける。
「修弥が主人なんて認めねえよ」
「な......何だよ!頼りないってことか!?」
「ちげえよ」
怒る修弥をなだめるようにキスをして、微笑んだ。
「だってお前は、俺の大事な嫁さんだって言ってるだろ?」
素直じゃない赤い顔で、喜んだように口を緩める修弥が愛おしい。
これまで、たくさんのことがあった。
怒らせて、傷つけて、泣かせて。
完璧なんかとは程遠い。だけど修弥が望むなら、俺はこれからも完璧でい続ける。
修弥が望むことはなんだって叶えてやりたい。
「愛してるよ、修弥」
だから、ずっとワガママな修弥でいてくれ。
そうしたら、俺がこれからも修弥の幸せをつくっていけるから。
*fin*
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