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ら
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「なー、鈴木さん、今日もう帰ってもええ?」
「は?なにアホなことを」
「いや、僕は真剣なんやけど!」
「・・・尚更悪いわ」
「・・・はい」
新しい雑誌の表紙を飾るとかなんとかで、今日は打ち合わせ三昧。僕は打ち合わせが苦手や。まだ写真撮られてる方が幾分かまし。
そういや、僕の仕事へ対するモチベーションってなんなんやろ?もともと、友希の夢の邪魔をする社長に直談判しにきて、友希をモデルとかにしたくなくて結局自分がこの世界に入ったようなもんやし。別に芸能界に憧れなんて無かったし、この仕事してなかったら普通のサラリーマンしてたんやろなとか思う。
でも、普通にって、できたんかな?鈴木さん曰く僕は相当のアホらしいし、確かに勉強も全くと言っていいほどできんやったし。
それを考えると、社長と鈴木さんに感謝したほうがいい?
「いやいや、そんなことないで」
「は?今度はなんや」
「あれ?口に出てた?」
「思い切りな」
あははと誤魔化して、編集者の顔を見て笑った。編集の人は凄く美人でそれはもうええ香りが漂ってきて、僕が笑いかけた途端に頬が赤く染まったけど、僕にはただ、それだけのことやった。
ごめんな?僕には友希しか見えてへんの。
「それでは中村さん、今回のコンセプトの詰めなんですけど・・・」
「はい」
「ちゃんと聞いとけよ」
「わかってます」
もう一度にこりと笑いかけると、また頬を赤くした。仕事とはいえ大変やなこの人も。
まるで人事の様に感じながら差し出された紙に目を落とした。
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