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き
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なんだか頭が痛くなってきた。帰って頭痛薬、あれ?あったっけ?
薬とかいつも友希に貰ってるから、自分の家に薬があるのかすらわかれへん。・・・まあいい、無かったら無かったで寝てしまえばいいだけや。そうすれば勝手に朝は来る。
「なにかっこつけてんねん僕」
ケッと自分に毒吐いてゆっくりと立ち上がった。がちゃがちゃと食器を直す音がする。それに向かって声を掛けた。
「友希ー、帰るなー」
「えー?あ、うん」
今日着てた衣装を手にして、キッチンを横切りながらなるべく友希は見ないようにして通り過ぎた。
僕にとって生活する場所はすでに友希の家なんやけど、帰る場所は友希のいるこの家なんやけど、やっぱり帰るって言わないかんのかな。
とかめっちゃ女々しいこと考えながら、玄関に辿り着いた。家とここの行ったり来たり用に置いてあるサンダル(冬やけど、直ぐ隣やし平気)を靴箱の下から引っ張り出そうと屈んだ。
あれ?あれ?どこ?
いつもあるとこに無くて、身体を更に縮める。うんしょうんしょと探してるときに、そうやって時間を食ってしまってる時に、ぱたぱたと友希の近づいてくる音がした。
あー、もう、サンダルのせいで作戦失敗。
顔を合わせんと帰ろうって思ってたんに。どうしてこう要領悪いかな、僕。
近づいてきたのに気付かないフリをしたまま、ようやく見つけた僕は体を起こした。そして、振り返る。
「あのさ、中村」
「うん?」
「あのー・・・」
「うん、どうしたん?」
ん?どうしたん?いつも歯切れのいい友希が口篭って、僕の目をちらと見ては逸らすを繰り返した。なんやろ?って思って僕は首を傾げて友希を覗き込む。
うわっって大げさに驚いて一歩退く友希に、僕は少なからず傷つきました。はい。
「中村、これ、いらんかもしらんけど、あの、これ」
「うん、なに?」
「ちょ、チョコレート」
「・・・へ!?」
「今日、バレンタインやん?あの、男から貰っても嬉しくないかもしらんけどっ、いや、やっぱいらんかったら」
「いる!!いるよもちろん!!」
えっえっ、ほんまに!?
友希から僕に!?ていうか今日バレンタインって忘れてた。朝からずっと悶々と考え事してたから、世の中の行事をすっかり忘れてました!
もじもじと僕の目の前に出した小さな袋を、しまったって感じで慌てて戻そうとした腕を掴んで、僕は叫んだ。
恥ずかしそうに目を伏せる友希の頬がピンクになってるのは、見間違いようが無い。寧ろ耳までピンクになって僕の掴んだ手に更に恥ずかしそうに下を向いてしまった。
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