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ん
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「なんか、昨日からずっとどうしよどうしよって考えてて・・・。こんなん渡して中村に引かれたらどうしよって思っててん」
「そんなわけないやん、友希がくれるもんなら、なんでも嬉しい。し、そんなに悩んでくれてたなんて、ほんまに嬉しいに決まってるやん」
「・・・そか。よかったぁ」
ぽりぽりと頭を掻きながら首を傾げた。と同時に僕の体がびくんっと跳ねた。(いや、実際揺れてへんよ)
そして、自然に腕が伸びていた。
「友希・・・ありがとぉ」
「うん、えへへ」
ぎゅうと抱き締めた。長年抱いていた夢が今叶ってる。友希の気持ちに自信が無くて、ずっと勝手に落ち込んだり悩んだりして、もしかしたら友希に嫌な思いさせてたかもしらんなって、急に思った。
友希の身体からは甘い匂いがする。あったかくて、甘い。
止められなくて、友希の肩に顔を埋めた。そして、妙な安心感からか、その情けない想いを言葉に乗せてしまったのだ、僕は。
「友希ぃ、僕ずっと、僕だけが友希のこと好きなんやないかって思って、毎日毎日頭ぐるぐるしとった」
「・・・え?」
「なんか、僕はいつも友希をこういう風に抱き締めたり、大好きっていっぱい言ったりしたいのに、友希はほんまは僕のこと友達とか、後輩とかしか思ってへんくて、僕が友希のこと好き、って言ったからなんとなくつられて言ってしまっただけやったんやないかとか、そんな余計なことばっかり考えて」
「中村・・・」
「僕と友希の好きの温度がちゃうんやないかなって、不安になってた」
「そんなこと思ってたん?」
「うん」
友希の匂いを嗅ぎながら頷いた。このまま食べちゃたいよ、友希。
もうこんだけ情けないこと言うてんのやから、どうでもいいや。かっこ悪いって思われてもしょうがない。いや、重いって?
そのとき、友希の腕が僕の背中に伸びてきて、きゅうと抱き締め返してくれた。
え?
「中村ぁ、ごめんな。そんな風に考えてたんや」
「・・・ゆうきぃ」
「そんなこと全然無いで?そんな不安にさせてしもたんなら、ほんまごめんな?・・・ちゃうんよ、ほんまに俺も、中村のこと、その、す、好きなん、やけどさ、」
やっぱり恥ずかしそうに、たどたどしく、でも、確実に僕を天に昇らせる言葉を紡ぐ友希の声に耳を傾ける。なんかどきどきしてきた。僕をこんなにどきどきさせることができるのはきっと、この世でこの人だけや。
「なんかその、恥ずかしくて。・・・や、やって、今までずっと友達やったのに、なんか、どういう顔して中村のこと見たらええのか、わからんくて」
きゅうってちょっとだけ力が入って、一呼吸おいてさらに続ける。
「・・・俺ばっかり、中村のこと好きなんやないかって思ってた。重いて思われたらどうしよって。だから、少しでもいつも通りを心掛けてたんやけど、」
「友希っ、そんなん想ってくれてたん!?」
「うん」
「あーもう!なんて可愛いんや!」
「うわっ」
友希の思わぬ告白に、一旦離れて、もう一度勢いよくその身体を抱き締めなおした。これでもかってくらい、身体が折れてしまうくらい。でもそんなんでも足りひん。足りないよ友希。
「キスしていい?」
「えっ!?」
「友希、いい?」
こんなこと聞いたのなんて、初めてや。今まで女の子と付き合ったときやって、そんなこと聞いたことない。だって、特に必要無かったから。
でも今は違う。友希は、大事だから、大事すぎてどうしていいかわからんから、絶対友希の嫌がることはしたくないから。
だから聞いてしまってた、こんな台詞。
「僕、ずっとずっと友希を抱き締めたくて、キスしたくて。ほんま今すんごいかっこ悪いこと言ってるってわかってるけど、それだけ友希のこと大事って、」
「いいよ」
「え?・・・いいの?」
僕の言葉を最後まで待たずに、友希が小さく答えてくれた。自分から言い出したくせに聞き返す僕の情けなさに気付かないように(笑)。
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