アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
59
-
何言ってんの、と瑠璃条は後輩を引きずりつつ、眉間にシワを寄せる。
「アンタに飲食する権利なんてある思ってんの??」
「え…っ。それじゃあ、ただのカツアゲじゃないのか!?」
「相談料ですね御姉様、っていうところでしょう!?」
二人はぎゃあぎゃあと騒ぎながら、大学を去っていく…。
後輩が生け捕りにされて連行された先は、瑠璃条行きつけの、送別会で使ったのとはまた別の居酒屋だった。
木造の古式ゆかしい建築物らしく、屋根は薄い板が敷き詰められ、柱は無骨な丸太がどっしりと数本聳えている。
二人はカウンター席に隣り合って座り、心たくましい美女の前には皿が三つ。ネギま一本、つくね三本、砂肝が二本、それぞれの皿に乗っていた。他には既に空の生ビールのジョッキが二つ並んでいる。
ねぎまとビールのジョッキを左右の手にして、瑠璃条が問いかけてくる。
「んで、ぶっちゃけ今は楠田チャンとどうなのよ??」
榎野は、お冷のグラスを両手で包み込み、ぽつんと切り出す。
「まあまあ、ですよ。週に二、三度。俺ン家で会っています。」
榎野が答えると、瑠璃条が目を丸くする。
「へぇ~。その頻度でおウチデート…。」
「いえ、Go to the bedです。」
後輩の返事に、瑠璃条は頭を抱える。
「は!?い、いや…。野郎同士のアレコレは正直どうでもいいんだけど…。ちょっと待ちなさいよ。楠田チャンとアンタって、本当に付き合っているの!?」
後輩は苦々しげに、頭を左右に振って否定する。
「多分っつか、前後の会話からして、先輩は自分が俺のセフレなんだと思い込んでいるに違いないです…。俺も、いつ指摘すべきかわからなくなっちゃって…。だって、先輩は俺が誰でもいいって前提に、妙にこだわっている節があるような気がして…。」
「…悪いこたぁ言わないから、さっさと楠田チャンに本音をぶつけてあげなさいよ。けど、まあ…裏切りの代償が高くついたもんね。」
呟いて、ねぎまに一口噛み付いて串から引き抜く、外見清楚系女子に榎野が唇をひん曲げる。
「そっ、そんな…!!俺はただ、楠田さんを勇気づけたいと思って…。」
瑠璃条は一気にグラスを呷ると、盛大な音をたててテーブルに置く。
「黙らっしゃい!!楠田チャンは、アンタのその余計な気遣いで傷ついたのよ!?想像してご覧なさい!!年上の楠田チャンがプライドと引き換えにセッションを申し込んだのよ!?下心満載のアンタは、ヘタレた演奏して先輩を落ち込ませた挙句、楠田チャンの異変に気づかずに手ェ出すなんて!!」
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 69