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憂鬱 K,side
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K,side
ああ……くそ、どうすりゃいいんだよ…
あまりに可愛いからキスしちまったじゃねぇか
フジは、どう思ったんだろうか
何故逃げなかったのか
気になることはたくさんある、けど
聞けるはずがない…気まずい……
「……ん」
フジはぎゅうっと俺の首に腕を回して
抱きつきながら体重を預けてくる
背中にフジの体温を感じる、それだけで心臓が破裂してしまいそうだ
…まあ、あれからフジが追及してこないことが唯一の救いだな
フジを抱えながら歩いて数分すると、
旅館の明かりが見えてきた
旅館、着いたっぽいな……
ちょっとした階段をゆっくりと降りて
裏口から旅館へ入った
「もう歩けるか?」
「うん、ありがとう」
俺は人の少ないホールのような場所に
フジを降ろして近くにあった自販機に駆け寄った
「小銭あったかな…」
財布を取り出して、その中から500円玉を
手に取って自販機に入れる
お、綾鷹あんじゃん、ラッキー
俺は迷うことなく綾鷹を2本購入し、
フジの元へ戻った
「ほれ、綾鷹」
「あ、ありがとう」
フジはにこ、と笑って綾鷹を受け取る
…素直だな
俺は綾鷹の蓋を開けて液体を流し込み、
喉を潤わせていた
…どうすっかな、いつ、告白しようか
フジは、なんて言うだろうか
拒絶…すんのかな、それとも……
いや、ないな
フジのホモキャラはやらせだと思うし…
いくらドMだからって男と付き合おうとは思わねぇだろ…
俺は綾鷹の蓋を閉めてちら、とフジの横顔を見た
乾かしたばかりのフジの黒い髪が
ふわふわと柔らかそうに跳ねている
……可愛い
「…フジ」
「なに?」
フジが返事をしてから初めて俺が声に出して
フジの名前を呼んでいたことに気付いた
やっべ、声に出てたんか……
「キヨ?どうしたの?」
フジは不思議そうに俺を見つめて
こてん、と首を傾げた
……あざといな、やめろ、それ
「なんでもねぇよ、そろそろ部屋に戻るぞ」
「う、うん」
フジは慌てて綾鷹の蓋を閉めて
ぱっと立ち上がった
綾鷹のペットボトルを片手に
またフジの手を引いて廊下を歩いていく
明日にでも、告白、できたら……
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