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不良と幼馴染
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黎士は目を見開いて、俺を見つめて固まっている。
そりゃ驚くだろうな。幼馴染みが男に迫られてるの見たら!
「、れい、し」
「っ!!」
俺が高槻を突き飛ばすのと、黎士が俺の腕を掴むのはほぼ同時だった。
高槻から引き剥がされ、ふわりと温かいものに包まれる。
「……大丈夫か」
よく知った声が聞こえて、今になって震えが込み上げてきた。
高槻が豹変してうやむやになってたけど、本当に怖かった。
何をされるかわからないというのは、とても怖い。
「っ、黎士、」
堪えきれず、じわじわと涙が込み上がった。
黎士の制服に顔をうずめ、震える手ですがる。
「………お前、高槻仁か」
頭の上で、ぞっとするような冷たい声が聞こえた。
いつもの心地よい低音じゃない。
こんな黎士の声は知らない。恐ろしく冷たい声。
「………そうだけど?」
答える高槻の声も低い。
ピリピリした空気が中庭に流れた。
「なあ、手え離せよ。お前何なの」
高槻に背を向けているせいで、顔は見えない。
でも、簡単に想像することができた。
きっと、あの冷たい無表情で黎士を睨んでる。
「白亜の幼馴染み」
「へー、あっそ。で?幼馴染み様が何の用?」
ぎゅ、と黎士の腕に力が籠った。
「………泣かしたろ」
唸るように黎士が言った。
泣いてない!と反論しようとしたが、強く抱き締められているせいでそれもままならない。
「………ふーん、なるほど」
何がなるほどなのか、俺にはさっぱりわからなかった。
だが、高槻の声の調子が変わった。
反対に、黎士の腕にはさらに力が籠る。
「れい、し、痛い…」
あまりの強さにおずおずと申し出ると、黎士ははっとして腕の力を緩めてくれた。
だが、依然として顔は険しいままだ。
「お前、あいつに何された」
「え……?」
黎士の手が俺の首を撫でた。
ぞわぞわして首を竦めながら戸惑う。
触られた。キスされた。
でも、どこまで話せばいい?
俺としてはひとつも話したくないけど、黎士の鋭い瞳が俺を急かす。
その瞳にさっきの唇の感触が思い出されて、俺は無意識に高槻を振り返っていた。
「「っっ!!!」」
息を飲む音がした。
ひとつは、視線の先で。もうひとつは、頭上で。
なに、と思った瞬間、大きな手が俺の視界を覆った。
「黎士!?」
「いいから」
熱い手のひらは黎士の物だ。
真っ暗になった視界の中で、耳に切羽詰まったような黎士の声が吹き込まれる。
「帰るぞ、白亜」
何で黎士が焦っているのか、俺にはまったくわからなかった。
ただ、視界を覆われる前に。
高槻の琥珀色の瞳が、ギラギラと光っているように見えた。
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