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メランコリー東京・・・・終
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あんなに食べたのに、結局お腹が空いて、ボクたちは冷蔵庫からハムとチーズを取り出してワインと一緒につまみ始めた。ボクも珍しく赤いワインをちびちびと舐める。チーズと合う。
ソファーの上で一回。ベッドの上で2回。ボクに至ってはイキまくっててよくわからない。
「キンタマなくてもやっぱすごいよな。まさゆきの性欲」
「どうも」
「すっげえトロマン。やーばかった。やっぱ女性ホルモン?」
「それは関係ないと思う」
「そなの?イキまくってたのは?」
「関係ないですよ……」
ぶっきらぼうに答えると、不意におでこに降りた前髪をすっと払われた。
「元気出た?」
「え?」
杉田さんはおかあさんみたいな優しい目でぼくを見つめ、髪を撫でる。
「お前、元気なかったじゃん?」
元気ない?あんだけお肉食べて、あんだけやりまくったのに?
暖かい指が耳をくすぐる。
……うん、元気なかったかも。
ずっと元気なかった。ここんとこ。
「ちょうど、2ヶ月前?先輩とやった後、彼氏が消えまして〜……」
「え、まじ?彼氏いたの?」
ボクが頷くと、ばちんとおでこを叩かれた。
「彼氏いたのに、おまえ俺にヤられちゃったの?」
思い出してついニヤニヤ笑っちゃう。
「すっげえやらしい目で俺誘ってさ」
だから誘ってないんだけど、もういいや、ほんと。
「結婚しようなんて言われてたんですけど……」
「えー!!……あ?それって、戸籍女に変えるってこと?」
「ま、全くその気はなかったですけどね」
嘘。嘘。嘘。
みんな嘘。
本物の女の子になりたいなんて嘘。
結婚したいって言われて嬉しかったボクも嘘。
彼と付き合ってる間。ずっとずっと、それは違うって思ってた。そうじゃないって。
なのにボクはボクに嘘ついてた。
それがわかって悲しかったんだ。
だってボクはボクだから。ボクはもうボクなんだから。
なにかになんかならなくていいんだ。
ボクの中で「まゆ」はずっとそう言ってた。
「杉田さん、誰かといつか結婚したいですか?」
「全然!」
「あはは、即答」
「俺は誰も俺のことを変えようと思わないでいてくれたらそれでいいと思ってるよ」
……もしかして、杉田さんは今さらっと、ボクの言いたかったことを言った気がする。
杉田さんがボクの肩に腕を乗せ、雑に引き寄せた。
「なー、この流れだと、もしかして俺たち付き合う?」
「……いや、いいです。時々セックスしてくれたら」
「ああ、そう?」
ボクはコトンと杉田さんの肩に頭を乗っけた。
でも……。
「次やるときは、ボクのことまゆって呼んで欲しい……」
ポロっと涙がこぼれた。
「まゆ……ってのが君なの?」
「うん」
目をつぶった。
そしたら杉田さんがキスをするのわかってたから。
メランコリー東京・・・・・終
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