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それから、僕の成績は上がらなくなっていった。
毎日勉強してるのに、テストの点はいつも平均点並み。父さんは躍起になってもっと勉強を教えてくれたけど、何も頭に入らなくて、眠るとミャーが夢の中に出てきた。なんで殺したのって、ずっと僕を責め立てた。
殺したんじゃない。半分こにしただけだよ。
いつもそう言って反論するけど、ミャーは納得しなかった。父さんも竜也も、変な顔で僕を見るだけだった。
「奏英先輩…好きです、付き合ってください」
高校二年生になると、一学年下の女の子が、僕を好きだと言ってくれた。一度も話したことないし、見たこともない人だった。けど僕を好きだと言ってくれたから、付き合うことにした。
僕はすごく優しくしたと思う。いつも帰りに送って行くし、荷物だって持つし、ご飯は奢るし、セックスだって優しくした。そうすればミャーみたいに擦り寄ってきてくれると思っていた。
なのに、女の子は僕から離れていった。
「なんか…私たち、合わないと思います。すみません」
「合わない? どうして? 僕、君に合わせるよ」
「いや…そういうんじゃ……っていうか、」
そういうところが嫌だと言われた。
そういうところってなんだろう? 帰りに送るとこ? 荷物を持つとこ? ご飯を奢るとこ? 優しくセックスするとこ?
今度は直そうと思って、高校三年生に上がって、次に告白してくれた女の子と付き合った。今度は同学年の違うクラスの女の子だった。女の子は少し派手好きで、僕と腕を組んで街を歩くのが好きだった。
帰りは送らないし、荷物も持たないし、ご飯も奢らないし、セックスも酷くした。でも女の子は離れなかった。これが正解だった。
正解だったはずなのに、ある日女の子は竜也と一緒にいた。
「えっ? この子、兄さんの彼女なの!?」
「えへ、ばれた? じゃあさじゃあさ、三人で付き合わない? 私、貴方達の顔大好きなんだ〜」
「はぁ? 何言って……ちょっと、兄さんもなんとか……」
また竜也に取られた。
……上手くやってたのに、なんで僕じゃダメなんだろう。竜也と僕は何が違うんだろう。正解は何? 愛してくれるための条件は?
女の子とは、それきりで別れた。僕のものじゃなくなったものは、もういらなかった。
「ねぇ、兄さん……今度はさ、本当に好きな人と付き合ったら?」
「……え?」
「ほら、一緒にいて楽しいとか……そういうの。今までの子は本当に好きじゃなかったんだろ?」
本当に好きな人と付き合う? それが正解?
竜也が言うんだから、正解に違いない。竜也は僕より頭も良くなったし、みんなに好かれる天才でもある。竜也はすごい。僕も竜也みたいになろう。好きな人と付き合おう。
「そうだ。明日、俺の友達遊びに来るからさ、兄さんも少し話そうよ。かわいい子もいるし」
竜也の友達と……?
…そうか、竜也には友達がいるんだ。やっぱり竜也は凄いな。昔からすぐに人と仲良くなれて、毎日楽しそうで、みんなを笑わせて……。
次の日、家には竜也の友達が男女合わせて五人やって来た。女の子は確かに可愛かったけど、前付き合った派手な女の子に似ていたからあまり好きじゃなかった。
だから、どんなに話しかけられても、肩を触られても嬉しくないし楽しくない。そもそも、好きになるってなんだろう。
「奏英さんって、面白いっスね!」
「………え?」
「は? 何言ってんだよ裕也。さっきから兄さん何も喋ってないし……」
「いやでも、ここまで無表情だとなんか面白いっていうか、かわいい?みたいな。俺好きっすよ、奏英さんみたいな感じ」
かわいい? 僕みたいな感じが好き?
「男に言われても嬉しくねーって! ねぇ、兄さん」
「………」
「ほら、また無言! かわいい!」
「枝野、アンタいつからホモになったの?」
「いや違うけど!?」
枝野裕也くん。茶髪で、ちょっと少年なところが抜けない男の子だった。……今思えば、少し侑太郎に似てたかもしれない。もちろん侑太郎の方がかわいいけどね。
「僕が最初に監禁したのはその子だったよ」
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