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冗談でも、軽い気持ちでもないことがわかると恋人の唇は開いたり、しまったりを繰り返した。
『…美大に行きたいんです。子供の頃デザイナーになりたいって、けど大学受験の時食っていけるか不安で諦めた、っていう話はしましたよね。でもカフェのガラスに描かれたのを見て、勉強したいって思ったんです。』
『だったら、社会人コースとかにすれば?今の仕事を続けながら通って、そっちの仕事で食っていけるって分かったら本業にすればいいんじゃないの』
『……』
冷静な恋人の指摘が焦れったかった。
てっきりもっと感情的になるかと思っていた。
こう言う時この人が年上だということがよく分かる。
『それも考えたんですけど、でもやっぱり四年は美大に集中したい。それに中途半端にしたらまた同じことになるから、だから仕事はやめます。』
『…………』
仕事は辞めるということを強調すると今度こそ彼の唇はぴったりと閉じた。
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