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2月_5
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「今日はよくスマホチェックしてるな」
「そう…か?」
コーヒーを飲みながらスマホの電源を入れると隣に座った同僚がそう言った。
「大事な用でもあるのか?」
あるよ。だって今日はあの人の誕生日なんだから。
「…恋人の誕生日なんだ」
「そうなのか!そりゃあ、気になるな…どこ行くん…あ、今日確か雪が降るって…」
「会えないかもしれないな…」
本当の理由は違うけれど、俺は否定しなかった。
そうまでしてもあの人との関係に拘りたかったのかもしれない。
「彼女家遠いんだっけ。俺らも明後日まで仕事だしな…」
「仕方ないよな。仕事ほっぽり出して行って喜んでくれる人でもないし」
「さすが年上は違うね。俺なんて直ぐ『埋め合わせして!』ってせがんでくるし」
「大変だな」
口では同情を唱えつつも、同僚が羨ましかった。
俺も言われてみたい…
例えば今日、『会いたい』とあの人がいつもは言わない我儘を言ってくれるのではないかと。
スマホを気にせずにはいられなかった。
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