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ジャージ~二次創作弱虫ペダル金城/福富
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目の前にジャージがあった。
手の届く、ミリ差で、なのに!
思わず手を伸ばし、
結果は……
永久出場停止。
親御さん~自転車競技界の大物過ぎる大物~は、口角泡とばして怒鳴っている。
福富の名をなんだと思っている!!
許さん!
絶対許さんぞ!
ミスターはいつもと変わらぬ笑み。
自転車競技は予測不可能。
有島先輩には殴りとばされたが、寒咲先輩も田所も巻島も、あえて俺を殴ったりはしてこなかった。
だからかえってつらくて。
とにかく謝りに……行った……
謝りに??
エースアシストにまず殴られ、もう一人のエースアシストにも殴られかけたが、筋肉がちな丸刈りの下級生が止めてくれていた。
止めてる当人も、俺に憎しみの目を向けている。
当然だ。
巻島と仲の良い? カチューシャのクライマ一は冷たい瞳で立っているだけ。
百人近い箱学競技部員の怒りを正面から受けて、さすがにたじろいだが、やってしまったことはやってしまったことだ。
どんな制裁も覚悟の上で来たのだ。
そこへザワつきが近づいてきた。
福富と顧問だった。
「いきなり来られても困りますよ。
せめて顧問の先生と同伴でいらしていただかないと」
顧問の口調は本当に迷惑千万としかいいようのないものだったが、当の福富~いまだあちこちに包帯やら何やらがあって、痛々しいことこの上なかった~は、両腕を組んで坐っているきりだった。
瞳を固く閉じている。
俺は謝罪の続きを続ける。
俺の心の弱さが、きみをこうまで傷つけてしまった以上、俺はもう二度とロードを手にはしない。
それが俺なりの贖罪だ。
すまなかった。
言い切った。
深礼しつつ涙が零れていた。
自分が悪い。
わかっている。
けれどこれで、愛してやまないロードを完全に失うのだと思うと…
小関さん…すいません…
頭を上げ、さらに一礼して、
その場を去る。
自転車が、
遠くなる………………
待て。
福富寿一がひとこと言った。
立ち上がってこちらへ来る。
俺の真後ろで立ち止まり、こう言った。
処分は必ず撤回させる。
来年の箱根へ必ず来い。
そして三日間のどこでもいいから必ず俺にひとつ勝て。
そしたら俺はおまえを許す。
だが。
俺は強いぞ!
知っているとも。
年明けて、
突然処分は撤回された。
巻島たちが獲得しておいてくれたゼッケン17が、欠番から復活した。
最後の夏は去年の筈だったが、もう一年を得てしまった。
勝っても負けても、俺はレースをやめるつもりだ。
だからこそ、俺は全力を出す。
俺たちはーから出直して、
必ず。
俺は強いぞ!
知っているとも。
だからこそ挑む。
俺は、あきらめない。
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