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翡翠と白鷺(青)-7
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えーーっ!?
1分ぐらいは余裕で硬直していた気がする。
どうしてシロが!?
「般若で修羅でプロレスラー……」
思い描いていた風紀長像は何だったのか。
「般若と修羅はよく言われるけど、プロレスラーは初めてだなー。誰が言ってたの?」
「原山と持田と山本と渡辺」
入学してから席替えがあるまでは出席番号順だから名字が八坂の俺の前後左右はこんな感じ。
シロがあまりに穏やかに聞くから思わず喋っちゃった。
「そう。4人に今度、風紀室においでって伝えて。お茶でも飲みながら俺のどのへんがプロレスラーっぽいのか教えて貰おうか」
「で、直すの? 直さないの?」
シロが俺の髪の毛を一房手で掬ってきて、頭皮を掠める指の感触がこそばゆくて思わずドキンとしてしまった。
俺の答えはもちろん「直さない」に決まってる。
だって、シロに誉めてほしくて茶髪にしたんだから。
「わかってる? ここで直さないって事は生指に引っ張られるかもしれないんだよ」
さすがシロは優しい。
会ったことすら忘れてた俺の心配をしてくれるんだから。
「大丈夫~。俺こないだのテスト余裕で上位だったから」
シロを安心させたくてそう言ったのに、シロは何故か難しい顔をして黙りこんでしまった。
「シロ?」
「生指に呼ばれると何されるか知ってるよね?」
「バレーボールだろ? 俺、小学校の時バレーボールクラブだったから余裕だし」
俺の口から出たのはシロの求めていた答えの筈なのに、シロは何故か今度は深くため息をついて苦笑いを浮かべた。
写経の手を止めてシロの百面相を見つめる先輩たちの視線が面白くない。シロはいま俺と話してるのに。
「あのな、生指のバレーボールって、お前が思ってるような楽しいボール遊びじゃないんだよ」
「知ってる」
この学校に入る前にも色々と噂は聞いていたし、風紀検査に引っ掛かる同級生が少ない事からもキッツいんだろうなあって想像はしていた。
だけど、小学校でやってたバレーボールで一番得意だったのはスパイクを上げるディグだったからむしろそれが罰則なのは俺にとってボーナスステージって感じ。
シロを安心させたくて言ったのに、シロは余計に難しい顔になってしまった。
何で!?
「とにかく写経してきて」
「うんっ」
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