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牛印の石鹸で煩悩を洗う-2
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何故にジャージ!?
朝練でもして来たのか、虎太郎が身に纏っているのは沢井流のロゴマークが胸元に刺繍されたジャージだった。
このままドアを閉めてしまいたい衝動にかられたけど、それは流石に失礼だと思い直してまた3センチほど押し戻した。
「あ、もしかしてまだ用意の途中でした?」
「違う。用意は済んでる。とりあえず入って」
「あ、はい。お邪魔します」
丁寧に揃えている靴も立派なスニーカーで、何処かへ運動をしに行く気だとしか思えない。
「付いてきて」
虎太郎を従えて部屋に入るとクローゼットの中から、穿かなくなったジーパンを取り出して有無を言わさず押し付ける。
「これに着がえて」
「え?」
「てゆーか何でジャージ? 映画だよ。どこ行くつもりだったの?」
「道着の方が良かったでしょうか?」
虎太郎の私服が道着とジャージの2択しかないと知って、悠夜おじちゃんを選ばなかった事を物凄く後悔した。
余計なちょっかいばっかり掛けてくる悠夜おじちゃんだけど、仕事が仕事だから服のセンスだけはいい。
「ジーパンって初めて履きました!」
「……」
姿見に映った自分の姿を見て目をキラキラさせている虎太郎の隣に居ると、自分が今どこに居るのか分からなくなってくる。
ジーパンでテンション上がりまくる高校生って今この時代の日本に居たんだ……。
「あげる、それ」
「え? そんな、申し訳ないですっ」
「いい。もう履かないやつだし。あと、上は……これと……これ着て」
可愛らしいピンクのTシャツは意外にも虎太郎に似合っていた。
上に羽織らせるパーカーを探していたら着ないTシャツが何枚か出てきたので虎太郎のスポーツバッグに突っ込んでおいた。
頑なにお金を払おうとする虎太郎を部屋から押し出して何とか出発まで漕ぎ着けた。
これでやっと出かけられるけど……。
朝イチからこのドタバタでは今日一日が心配でしょうがない。
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