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Childish?-2
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「何それ?」
椅子1個占領する包みのインパクトにドン引いて、折角練習した大人っぽい表情がどこかに飛んでいってしまった。
「何って茶葉だよ」
「全部?」
「もちろん! オープニングセールで安かったからな。ちょっと買いすぎちゃったけどすぐ飲んでしまうからな」
シロは自信満々に頬笑むけど、俺の目に映っているのは一般的に言う茶色の量じゃない。
この量を「ちょっと買いすぎた」とは言わない。
これぞ大人買い。
だけど子供みたいな大人買いだ。
「手にいっぱい持ってるそれ何?」
「抽選券だって」
そういえばショッピングモールのあちこちにガラガラ抽選会のポスターが貼ってあった。
『500円お買い上げで補助券を1枚新提案。10枚集めると1回抽選にご参加頂けます』
「い~ち、に~い……」
数えてみると8枚あったけど、券を8枚貰うって4000円分も高校買ったんだよね?
どんだけ茶葉を買い込んだんだとさらにドン引いてしまった。
「あと2枚か~」
ショッピングモールのテナントで1000円ぐらい買い物するものが何かないかなと考えていると、隣にある和菓子屋さんから会計を済ませたおばあちゃんが一人出てきた。
「これ集めているかい?」
「え?」
「なかなか10枚は集まらんでの」
おばあちゃんが差し出した抽選補助券はちょうど2枚で、渡りに船というか、天の何やらというか。
今日はやたらと色んな人が色んな物くれる日だ。
「良かったな。早速抽選しに行くか」
「うんっ!」
補助券に書かれた会場は2階だから、でっかい包みを抱えてエスカレーターに乗る。
後ろのお客さんもまさかこの中身が全部紅茶の茶葉だとは思ってもみないだろうな。
「あ、あそこじゃないか?」
ショッピングモールのにに設置された抽選場所を探して彷徨っているとが人だかりの出来ている一角を指差した。
列に並びながらポスターに書かれた景品を眺める。
1等/温泉旅行ペア招待券
2等/和懐石ディナーペア招待券
3等/コシヒカリ10キロ
4等/洗剤詰め合わせ
5等/コーヒー紅茶ギフト
6等/バームクーヘン
そこから先は箱ティッシュやら缶ジュースやら参加賞のお菓子やらお決まりの面子。
前に並んでるお母さんたちは「コシヒカリ」とか「洗剤」が当たって欲しいって現実的なところを狙ってて、みんな1等2等のペア招待券には目すら向けていない。
「5等が当たるといいな~」
さっき売るほど紅茶を買い込んだのにまだこの期に及んで紅茶を欲するシロはある意味俺より子供かも。
「俺は6等がいい」
さっきメニューに載ってて美味しそうだと思ったバームクーヘンがホールで貰えたら、シロの部屋で半分こして食べるんだ。
あっという間に俺たちの番が来たら、
「どっちが回す?」
「今日は葵琉が運がいいから」
シロに言われるがまま福引きを1周ぐるんと回すとピンクの玉がとびだした。
ピンク?
ピンクって何等?
どっちにしても上の方ではない気がする。
1等や2等は金や赤の玉の特等席だし、3等4つ等あたりは緑とか黄色の定位置だからもしかしたら狙ってた紅茶かバームクーヘンかも。
一瞬の静寂の後、カランカランと鐘の音が鳴り響いた。
これは!?
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