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よるごころ-3
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「ほら、前見て歩け。転ぶぞ」
「うん!」
角を曲がって志朗の姿が全く見えなくなってもまだ意識がそこにあるのが分かる。
車に乗ってからやっとこっちを見た。
「何食いたい?」
「オムライス!」
カーナビで近隣のオムライス専門店を検索すると、近くにあるショッピングモールに1軒入っていた。
「ここ行ったことあるか?」
「うん、ある!」
「美味いか?」
「うん。コーンスープが美味しい」
スープかよ……。
まあいい、行ってみるか。
「何だよこれ?」
立駐が軒並み満車で屋上まで行く羽目になった時点でそこそこ嫌な予感はしていたが、オムライスの店だけでなく他の飲食店も長蛇の列を成していた。
これ、待ってたら食えんの何時だよ。
「あっちのラーメン屋なら早そうだぞ、ラーメンにしないか?」
「えー? オムライスがいい」
10人以上待ってるのにか……。
しかも、店内で食べているのも待ってるのも女子と家族連ればっかりだ。
正直男二人で入りたくない。
「わかった。じゃあ、俺が作ってやるよ」
「えーっ!? おじちゃんが?」
「美味いの作ってやる、任せとけ」
そのまま目的地変更で、同じ並びにあるスーパーで材料を調達する事にした。
「トマト食えるか?」
真っ赤に熟したトマトを手に取って振り向くと、一緒に歩いていたはずの葵琉の姿がない。
「葵琉?」
まさか迷子になったか?
辺りをぐるっと見渡すと葵琉は、バナナ売り場のおばちゃんに捕まっていた。
「何やってんだ、お前」
「あ、お父さんも良かったらお味見どうぞ」
お、おと……。
にこやかなおばちゃんが勧めてくれたバナナは何故かしょっぱい味がした。
やっぱり髭か?
この髭のせいか?
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