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悪鬼襲来-7(完)
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鶴岡先輩が食べ放題のコースを注文してくれたから、みんな気兼ねなく好きなものを頼めた。
だけど、虎太郎だけは自分が食べるのは二の次で悠夜おじちゃんの肉を焼いたりドリンクやサラダバーを取りに行ったりしている。
「噂には聞いとったけど沢井流のヒエラルキーってホンマ凄いんやな~」
「お前も沢井流に入れよ。俺の付け人になれるぞ」
「悠夜くんの付け人なんて絶対ヤやわ~。めっちゃコキ使われるやん。なー、小池くん?」
「?!」
「虎太郎が困ってるだろ、銀」
義経が手洗いに立った所で虎太郎が口を開いた。
「綺麗な人ですね。雰囲気がどことなくユキさんに似てません?」
「言われてみるとそうだね。ユキを洋風にしたらこんな感じかもね」
「あ! 分かります。ユキさんが和風の重箱入りお節料理なら、あの人はバスケットに入ったオードブルですね!」
なに、重箱入りお節って?
一体どんな人!?
オードブルはまだ本人が目の前に居るからイメージ沸くけど、ここに居ないお節は未知の世界だ。
「ユキって誰?」
俺の問いは「あ、そこ焦げそうやで!!」という鶴岡先輩の声に掻き消されてしまう。
ま、いっか。
後でシロに教えてもらお。
「ほら~葵琉くんもようけ食べんと大きくなれへんで」
「あ、ありがと」
鶴岡先輩がお肉を次から次へと小皿に入れてくれるのを見て悠夜おじちゃんが「良かったな、葵琉。付け人が出来たぞ」なんて言って来る。
付け人かぁ。
ちょっといいかも。
「葵琉兄さん! 飲み物取ってきます!」
「じゃあコーラ」
「はい! 喜んで!」
居酒屋の店員よろしく元気に返事をした鶴岡先輩がドリンクバーに駆けていった。
来て……良かったな。
あのまま家に帰ってたら暗い気分はきっと晴れなかった。
いつも変なことばっかり言ってる鶴岡先輩だけど、今日ばかりは感謝してもいいかなと思った。
(完)
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