アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
キケンなお詣り-6(完)
-
仁王立ちする虎太郎の顔は、今まで見たことのないような鬼の形相で、護られてる筈の俺までビビってしまう。
「こ、虎太郎……」
普段温和な人ほど怒らせると厄介だってことわざの意味がようやくわかった。
ん?
ことわざじゃなくて慣用句だったっけ?
とにかく、普段怒らない人は怒りを貯金しまくって、ある日突然パーっと景気よく使うってやつだ。
コツコツ積み立てた虎太郎の怒りが炎のオーラになって背後から立ち上ってる。
これ、写真に撮ったら写るんじゃないかな?
「ちゃう、ちゃうって!!」
誤解やて~と、この期に及んで往生際悪く俺の脚にすがり付こうとする男の手との間に虎太郎がサッと入り込んで俺を庇ってくれた。
「あのな、俺らの学校で」
「言い訳は結構です」
男が説明しようとするのを制して虎太郎はピシャリと言い放った。
「理由はどうであれ、沢井流にとって特別大事なこの方に手を出してしまったら、平穏な未来は期待できないですよ」
「キ、キミ何者!?」
男が俺を指差すと、虎太郎は即座にその手をガシッと掴んだ。
「人を指差さない」
「すんません」
虎太郎が手を放した途端、男は脱兎の如く走り去っていった。
虎太郎がカッコいい。
伊達に悠夜おじちゃんの付け人やってない。
「虎太郎~」
「来るのが遅くなってしまってすみませんでした」
そんな事いいんだよ。
俺を助けに来てくれたんだから。
ほぼ口と気迫だけで不審者を追っ払った虎太郎がスーパーヒーローに見える。
俺が女子だったら絶対今ので惚れてるよ。
まさかのお守りの効果!?
「虎太郎、お茶」
「はいっ!!」
道場に着くと虎太郎は悠夜おじちゃんから顎で使われるいつもの虎太郎に戻ってしまった。
悠夜おじちゃんも、虎太郎の真の姿を目にしたらもっと大事にするんじゃないのかな!?
今日の勇姿を話してあげようかと思ったけど、虎太郎が付け人を引退したら代わりにやれって言われるとヤだからやっぱり言わないどこう。
(完)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 86