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シロさんの聞き耳頭巾-4
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「何でシロがいいななの?」
「志朗はいっぱい色んなもん手に入れていいなぁと思ってさ」
「色んなもんって?」
「お前だろ~、それから宗家の子って肩書きだろ~、道場のやつやからの人望だろ~」
兄さん……。
悠夜兄さんとは相当長い付き合いになるけど、そんなこと面と向かって言ってくれたことは一度もない。
むしろ、逆に厳しい言葉を掛けられる事の方が圧倒的に多かったから。
悠夜兄さんが俺の事をそんなふうに思っているなんて考えてもみなかった。
「そぅお? でも、シロいっつも悠夜おじちゃんが羨ましいって言ってるけど」
「そうかぁ?」
「うん。悠夜おじちゃんは、すぐ人の事巻き込んでめちゃくちゃやってて、シロと虎太郎は立場上特に振り回されまくってて、あと頭の中にはギャンブルの事しかなくて」
葵琉ーーーーっ!!
葵琉との未来を想って、悠夜兄さんの意外な言葉を耳にして、しんみりとしていた空気は一瞬にして跡形もなく吹っ飛んだ。
葵琉!!
それ誉めてない!!
むしろ貶してるって言うんだよ。
今すぐ衝立の向こうに飛び出して行って葵琉の口にチャックをしたい。
「あと道場で競馬中継ばっかり見るから、生徒が練習日記に『お馬さんのかけっこが面白かった』って書いてて困ったって」
そうそう、それそれ。
練習の思い出を絵日記にして廊下に貼り出す予定だったのに。
カラフルなゼッケン付けたお馬さんの絵なんて父兄に見せるわけにいかないから返却も出来ずに俺の机の引き出しで眠っている。
「そうか~面白かったか~。じゃあ今度は道場の遠足でみんなでお馬さんのかけっこ見に行くか?」
「でも、悠夜おじちゃん着いたら別行動するでしょ?」
「おう。よく分かったなぁ」
何がどうしてこんな話になってしまったんだ?
当初の「羨ましい」からどんどん脱線しまくっている。
それどころか、これじゃあ悠夜兄さんをターゲットにした悪口大会だ。
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