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とらごころ-2
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悠夜兄さんと揉めている所に、俺の退会届を手にした葵琉先輩がやって来ました。
「何で辞めるの!! 五段取って支部長になって、好きな人に告白するんじゃなかったの!!」
あの日俺が語った恋を実らせてあげたいんだと話す葵琉先輩に涙が出そうになります。
「志朗兄さんには返しても返しきれない御恩があります」
そんな御恩をお返しする。
今がその時なのです。
「それに」
「それに?」
「葵琉先輩の悲しい顔を見たくないんです」
「俺もお前の悲しい顔見たくないし」
鏡見てみなよ、と言われて姿見に視線を移すと不景気な顔をした自分の顔がありました。
「お前は道着着て練習してる時が一番キラキラしてるんだよ」
葵琉先輩は一度チャレンジしてダメだったらすっぱり諦めると明言しました。
「だからお前も沢井流に残って好きな人に告白しな!」
そして迎えた審査当日。
アップゾーンで練習の最終確認をしていたら緊張がピークに達して腹痛が襲ってきたと言って葵琉先輩が志朗兄さんの部屋に休憩をしに来ました。
毛を逆立てた猫のように不機嫌全開の葵琉先輩の心を少しでも鎮めようと志朗兄さんが撫でる手も迷惑そうに振り払われています。
「葵琉先輩」
「何?」
「俺、ずっと志朗兄さんと葵琉先輩に隠してた事があるんです」
「は? 何? てか何で今このタイミングで?」
只でさえ平常心を保つだけでいっぱいいっぱいなのに、ここでまた訳のわからないトラブルを持ち込んで来ないでほしい。
そんな気持ちは痛いほどわかりますが、俺も男です!
やる時はやるんです!
「俺……俺……」
「ちょ……何? お前、何か恐いんだけど」
「好きなんです!」
「はぁっ!?」
俺にガバッと抱きつかれた葵琉先輩は目の球が飛び出しそうなほど目を見開いています。
志朗兄さんの手からカップが滑り落ちて葵琉先輩の台詞を覆い隠しました。
「葵琉先輩……ずっとお慕いしておりました」
「はあっ!?」
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