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沢井流冬の心霊騒動-マモタン恋のキューピッド篇-3
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そして翌朝ーー。
まだ夜も明けきらない沢井家に悠夜おじちゃんの叫び声が響き渡った。
「志朗ーーーーーーーーっ!!」
眠い目を擦りながらシロと声のした方へ向かうと、台所では悠夜おじちゃんが憮然とした顔で仁王立ちしていた。
「何ですか朝っぱらから騒々しい」
「何ですかじゃねえよ、お前何だよこれ!」
悠夜おじちゃんが指差したのは炊飯器。
あ、良かった。
ちゃんと炊けてる。
「腹が減って納豆食おうと思ったらこのざまだ。どうなってるんだよ?」
さすがは「らくらく赤飯セット」だ。混ぜてスイッチ入れるだけで美味しそうに炊けてる。
「赤飯で納豆食えるか」
ん?
悠夜おじちゃんが何か言ってる。
「いや、俺は赤飯なんて炊いてませんけど」
「お前じゃなかったら誰が炊くんだよ? また幽霊が炊いたとでも言うのか?」
「俺、炊いたけど」
「はぁぁっ!?」
今日の朝ごはん担当俺だし。
台所にある食材は何でも使っていいって言うからお祝いに赤飯炊いたんだよ。
「お前、朝メシはフレンチトーストって言ってただろ?」
「おかず」
「おかずだぁ?」
「うん。主食がフレンチトーストでお赤飯はおかず」
普通逆だろそれ、って言う悠夜おじちゃんに横から電子レンジでチンした白ご飯が差し出される。
「どっちがおかずかって問題の前に、そもそもフレンチトーストと赤飯は合わないでしょう?」
シロが用意したチンご飯に納豆を掛けて御満悦の悠夜おじちゃんだけど、この人ゆうべ封印したんじゃなかったっけ?
何で出てるの?
「ああ、臼なら虎太郎に除けさせたぞ」
はぁ!?
なに結ばれたての恋人たちの邪魔してくれてるの!?
昨日とは反対のお尻のほっぺにペチコンと蹴りを入れる。
全然効いてないくせして大袈裟に痛がってくれるおじちゃんの脇をすり抜けて冷蔵庫を開ける。
もっ回部家に戻るのもあれだし、このままご飯作ろう。
我が家のフレンチトーストは味の染み具合が売りだから一晩浸しておいた。
うん、よく染みてる。
フライパンで焼くいい匂いが部屋まで届いたのか虎太郎とルミ先生も起き出してきた。
出来上がったフレンチトーストを大きめの白いお皿に1人分ずつ盛り付ける。
ここからが俺の腕の見せ所。チョコペンとラズベリーシロップでそれぞれ違った装飾を施すんだ。
カップル成立のお祝いに虎太郎とルミ先生のお皿にはフランス語で「おめでとう」って書いて、ラズベリーシロップのハートにチョコで縁取りをした。
シロと俺のお皿にはお揃いの鳥の絵と赤い花を、悠夜おじちゃんにはお馬さんの絵に赤いリボン。
お赤飯がおかずは嫌だってみんなして駄々を捏ねるから、サラダとウインナーが乗ったお皿の隅っこに一口分だけ盛り付けた。
「あのね、みんなに言っておかなきゃいけない事があるの」
食事が終わったところで唐突にルミ先生が切り出した。
心なしか虎太郎の表情も固い。
もしかして、交際宣言!?
いや、まさか、トントン拍子に進みすぎて悠夜おじちゃんに「妹さんを僕にください」って言ったりするとか!?
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