アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夢見る小鳥3
-
繊細で、壊れないようにするにはとても手が掛かる…本当に小鳥はシャボン玉みたいなのかもしれない。
我ながら何てめんどくさい人間なんだと思う。
ゆっくりと息を吐き出し、大ぶりなシャボン玉を1つ作って空へと飛ばす。
ふわふわと漂いだしたシャボン玉。
何やらそのシャボン玉が弾けて消える所は見たくなくて、小鳥はそっと目を閉じた。
尊が居るから、小鳥は今ここに居る。
尊が望んでくれたから、小鳥はまだ生きている。
生きていて良いと思える。
生きていたいと思える。
例え、姫子の最後の願いを無下にしてでも。
夢の中の、姫子と光の呼び掛けにも臆する事なく抗える。
だから、夢を見るのは怖くない。
でも目が覚めた時、側に尊が居ないと無性に不安になる。
自分は本当に、二人の所に行かなくてもいいのだろうか?
二人の望みを無視して、ここに居てもいいのだろうか?
「小鳥。」
後ろから大好きな声に呼ばれて、閉じていた目をゆっくりと開ける。
振り向けば、仕事で出掛けていた尊がいつの間にか帰ってきていて、ベランダ近くのガラス戸に寄りかかってこちらを眺めていた。
「おかえりなさい。」
「ただいま。シュークリーム買ってきたから、シャボン玉は中断してこっちに来い。」
紙コップとストローを地面に置いて、部屋の中から差し伸べられる尊の手をとると、そのまま抱き寄せられた。
「…尊?」
体は寄り添ったまま、胸に埋っていた顔をあげ首を傾げると、尊の両手がそっと小鳥の頬を包む。
「…どうした?」
まるで存在を確かめるみたいに、尊は手を小鳥の頬や髪、首もとにすべらせる。
尊の行動が不思議で問いかけると、またすっぽりと腕の中に閉じ込められた。
「やっぱお前、シャボン玉みたいだな。ほっといたら、何か勝手にどっかに飛んでいきそう。」
「…別に、どこにも行かない。」
「そうだな。俺が、どこにも行かせないよ。」
あぁ、やっぱり尊の言葉は特別だ。
夢から覚めてからずっと冷たかった指先が、ようやく熱を取り戻した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 233