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昔々の胸糞悪い物語
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これから胸糞悪い話をしようと思う
無理に聞かせる気はないから、聞きたくない奴は去るといい
さて……昔々、魔王が何の気紛れか人族のお姫様を拐ってきた
姫が住んでいた国は大パニック!愛されてた姫様だったみたいで、国民全員が嘆き悲しんだ
ところで少し話が代わるが、魔王には美しい魔族が傍にいた
何百年も傍にいた右腕だ
そんな男は、今回もまたしょうもない暇潰しを始めたと、楽しそうにしている魔王を見て苦笑していた
だが、少し…いや、かなり困ったことが1つだけあった…それは姫様が規格外だったことだ
声はでかいし、姫のクセに力はあるし、癇癪は起こすし、物は破壊するし、我が儘だし、不潔だしetc.
もう何度殺してやろうかと思ったか…
それでも我慢し続けられたのは、きっと愛のお陰だろう
そう、男は魔王に恋をしていたんだ
愛は偉大と言うが、本当にそうだと思う
だってその男は短気で冷酷だったんだから
しかしそんな男にも我慢の限界が訪れた
それは姫が魔王と寝た翌日のこと…
あの姫は実はビッチで、王国にいた時は取っ替え引っ替え顔の良い人族と寝ていた事を知ったのだ
手垢が付いた汚ならしい体を魔王に触らせていたことのショックと怒りで、男は姫を問い詰めた
もし本当に魔王が好きで、これからはそういう事を一切しないと言うなら許すつもりだった……のだが、流石と言うべきか…姫は男まで誘ってきた
男はすぐに殺そうとした…が、失敗した
後少しのところで魔王に見つかり止められたのだ
男は必死に姫を訴えた
しかし、魔王は長年傍にいた男の言葉よりも、逢って数日しか経っていない姫の言葉を信じた
「今すぐに殺してやりたいが、お前は今までよく仕えてくれた。殺すのは慈悲でやめてやろう。だが、私と姫の前に2度と現れるな!国に一歩でも入る事も禁ずる!さっさと出てけ!!」
男に味方する者は誰もいなかった
魔王に歯向かって殺されたくないからだ
息子でさえも味方になるどころか殺しにかかる始末
男は荷物も持たずに飛び出した
男は悔しかった…悲しくて…辛くて…苦しくて…
普通なら自暴自棄になるか、泣いて諦めるか、魔王の目を醒まさせる為に足掻くかするのだろうが、男は狂っていたので…
「大丈夫…まだ捨てられてない…まだ…。早く…早く仲間じゃなくなる前に壊さないと…!」
とまだ仲間である内に魔王達を ‘’壊す‘’ ことにした
しかし、流石に1人では難しい…さてどうするか?
そこで目をとめたのが姫を助ける為、旅に出ていた勇者だった
男は勇者達に近づき仲間になると、魔王達を倒せるだけの力をつける為に鍛えた
そして充分に力が付いたら、万全の状態で魔王の元へ辿り着けるように、王の間へ続く秘密の抜け道を教えてやった
こうして、魔王は倒された
因みにあの姫は自分の欲望に忠実に動いただけなので、許してやることにした
が、散々迷惑をかけられた事、汚ならしい体で迫ってきた事は別の話だ……報復はさせてもらった
と言っても別に命に関わるものではなく、視界を少しおかしくさせる呪いをかけただけだ
美しいものが汚く、汚いものが美しく見えるだけのな
美しいものが大好きな姫だから、美しい城に美しい物や人に囲まれるのは辛いだろう
その後、男は死んでしまった仲間達の墓を作り、魔王が眠る墓に口づけた
ざまぁみろという気持ちよりも、虚しさを感じるのはどうしてなのだろうか?
虚しさを消すように頭を振り、そろそろ帰ろうと立ち上がった
ふと仲間の1人の足音に気づき、どうしたのだろうかと振り返ろうとする
「ノイズ…ごめん」
「っ!?!?」
男は突然胸から突き出た刃と、口から溢れた大量の血を茫然と眺めた
この特徴的な輝く刃はこの世で一つしかない……でも何故か分からなかった
何故ならかなりソイツのことを信頼していたからだ
ソイツは人族だけど、他とは違うと思っていたからだ
剣が抜かれ、崩れ落ちる男を抱き締めた勇者の笑顔は、今まで見たことのない暗い笑みで、男をゾッとさせた
「本当に酷い魔族ですね。俺、初めて会った時から貴方のこと好きだったんですよ」
「ぁ……」
「今まで言わなかったですもんね。驚きました?…魔人と人族である俺とではずっと一緒に居られない。だから次は人族に生まれ変わるように神に頼んでおきました。安心して待っていてください。ちゃんと見つけます」
言っている意味が分からない…しかしこれだけは分かった
また仲間に捨てられて、そして最期を迎える……あぁ……なんて…
「ゲホッ…は…ハハ……なんて…笑え、る……死にか…た」
でも最期にこれだけは伝えようと、必死に手を伸ばした
こうして男は勇者の腕の中で生き絶えた
これで本当にこの話はおしまい
どうだ?胸糞悪すぎて気分が悪くなっただろ?
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