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2話 目立ちたく無かったのに…
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今不思議でならなかった
何故此処にいるのだろう…?
本当なら家を出て、ギルド員の一人として採取やら討伐やらをやっている筈なのに…
***********
一週間前、家を出る計画を立てていたクリアはこっそりギルドカードを作った
ギルドに入れば、堂々とダンジョンに潜れるし、稼げるからだ
しかしその日の夜
「お邪魔しまーす♪ 君が天才少年のクリア君かな?初めまして!」
父さんの友人を名乗る人族が家にやってきて、魔法で隠しておいたギルドカードを見つけられた
そして無理矢理…
「はぁ……」
再びため息を吐き、理事長挨拶をしている父の友人を怨めしげに睨む
なんとその友人は、ギルド長であり、この学園の理事長だった!なんで掛け持ちしてるんだよ!
「では次は生徒会と風紀委員からの挨拶です!」
ぼぅ…と聞き流していると、司会者が楽しげに言った
その瞬間
「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」」」
うるさっ!?
体育館に響き渡る甲高い叫び声に、咄嗟にバチンと両手で耳を抑え、結界をはる
音は空気の振動で伝わるので、結界で遮断したのだ
なので声は聞こえなくなったが、突然のことに心臓がドキドキと鳴り止まない
何だったんだ今の!?鼓膜が破れるかと思ったぞ!?
因みにこの学園は男子校
なのに、なんて声を出すのだろうか…ほんとに男か?
周りを見渡すが、当然だが男しかいない
学園に入学して約30分…もう自主退学したい気分だった
ある理由により、まだできないのだが…
結界をはってからなんと数十分、たかが挨拶にどれだけ時間をかけるつもりなのだろうか?
そして更に数十分…漸く全員ゾロゾロと動き出した
ちょっとうとうとしていたクリアは、結界をはったことを少し後悔した
この後何をするのか全く聞こえなかったからだ…どうすればいいんだろう?
取り敢えずこのまま突っ立っている訳にもいかないので、前の生徒に付いていく
すると
「どこ……行く…?」
肩をガシリと誰かに掴まれた
あぁ……付いて行っちゃ駄目だったのか…
「すまない。実は話をよく聞いてなくて…」
肩を掴んだ相手に、申し訳なさそうな笑顔を向ける
相手は同じ学生だった
ネクタイが青いことから2年生だろう
因みに、1年は赤、3年は緑、4年は紫だ
「これから何処に行けばいいのか教えてくれませんか?」
「………」
「……」
「………」
なにも喋らず、そして無表情で見つめられ、どうしていいか分からなくなる
なぜ無言?無言になるほど呆れているのか?そして、何故俺は周りから睨まれているんだ?
「………君…Bクラス…あっち…」
悩んでいると、そう言って違うグループを指差した
どうやらあっちの人達に付いていかないといけなかったらしい
「分かった。ありがとうございます」
「………」
礼を言ったのに、反応がない
……失礼な人族だ。こういう奴はあまり好きではない
踵を返し行こうとすると
「あ………ま…!」
呼び止められた
立ち止まって待ったのだが、もじもじしていて話さない…
早く追いかけたいのに行けないという非常にもどかしい思いをしながら、何か言うのを待った
しかし下を向いてしまったことで、苛立ちがピークに達する
「見失っちゃうので行きますね。ありがとうございました」
「あ…待って…」
また呼び止めていたが、気付かないフリをした
付き合ってられない
「お願い…待って」
しかし今度は腕を掴まれたので、苛立っていたクリアは思わず魔力を電気に変えて放出してしまう
バチンッ!!
「…っ!?」
しまったと思うも時は既に遅く、あまりに大きな音にシーンと辺りが静まり返る
「すまない。大丈夫か?」
咄嗟に謝るが反応がない
怪我はないみたいだし、逃げるか
「待って!!」
逃げようとしたらまた腕を掴まれ、そのまま抱き締められた
………へ?
キャーー!!と周りから悲鳴があがる
「な…んですか?離して-「逢いたかった!」
逢いたかった?
背筋がスウッと冷えた……もしかして、勇-
「漸く逢えた!父様!!」
「……………………ん?」
とうさま?
予想外の言葉に、固まる
それは周りも同じだったようで、数伯の沈黙の後、絶叫が響いた
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」」
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