アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(3)
-
-スレイside-
扉を通る生徒の後ろ姿をジッと見ていた
扉にみとれる生徒は多い……が、それは装飾等であって、先程の生徒は魔方陣にみとれていたように思えた
「変な新入生……っ!?」
突然背後から殺気を感じ、慌てて防御の体制をとる
しかし間に合わず、腹に足がくい込み吹っ飛ばされた
壁に当たる……!!
これからくるであろう痛みに、覚悟を決め目を瞑る
ドガッ!!!
ぶつかる音はしたが、何故か痛くない
恐る恐る目を開くと
「……ぐっ…」
「ホムラ!?」
無傷でいたのは、幼馴染みが受け止め、身代わりになってくれていたからだった
「大丈夫!?…何すんのさ!!シン!!!」
慌てて治癒し、ホッと胸を撫で下ろしながら、腹を蹴った張本人、風紀委員長であるシンに怒鳴る
するとさっきまで天使の笑顔を浮かべていた風紀委員長のシンが、瞳に静かな殺気をたたえスレイを見下ろした
その暗い瞳に思わずブルリと体が震える
すると、ホムラは呆れたように言った
「突然蹴ったのはシンが悪いが、お前の自業自得だ」
「何で!?」
「気づかなかったのか?先程お前が傷つけた生徒はノイズだ」
「…………は…?」
スレイの思考が停止した
実は前世で、スレイは神官、ホムラはSランクの冒険者だった
そして勇者と魔族のノイズと共に旅をしたメンバーである
まぁ流れで分かると思うが、風紀委員長のシンが勇者だったのだが…
シンは僕達と出逢ってからずっと、いや生まれた時からノイズを捜していたらしい
そのノイズがさっきの平凡…?
「本当にあの平凡が?ほんとに…?」
美しさを誇るエルフでさえも見惚れ、こうべを垂れる程に美しかったノイズが、あの平凡!?
いまいち信じられないでいると、シンは嬉しそうに笑い、いとおしげに扉を撫で始めた
「あぁ…漸く逢えた!さっき目が合ったけど、俺だって気付いてくれたかなぁ…。あっ今の名前、クリアっていうらしいんだ!」
「……もう名前を調べたのかい?」
行動が早すぎる…
「当然!それに寮は闇寮で、魔力の成績がかなり良いから、最下層の499号室に入ると思うんだよね。…あ、やっぱりそうだ!」
「ちょっと待つんだシン!規律違反もしてない生徒の部屋を調べるのはルール違反だよ!!」
「緊急に必要だから仕方ないよね」
「緊急って?」
「クリアの愛らしさに誰かが部屋をおし入ったら?部屋で何かが起きて倒れてたら?そうならない為に俺が守ってあげないといけないだろう?」
「だから盗聴や、盗視の魔法道具を設置するっていうのかい!?ストーカーじゃないか!!」
「ストーカーじゃないっ!!見守ってるんだっ!」
「ストーカーは皆、そう言うんだよ!ホムラ!何を呑気に見守ってるんだい!?早くお前も止めるんだっ!」
「………はぁ」
ギャーギャー騒ぐスレイとシンを見て、ホムラは溜息をつく
いまいちあの生徒がノイズだというのは信じられなかったが、このシンの暴走でよく分かった
あの生徒がノイズなのだと…
何故なら、前から勇者がおかしくなる時は必ずノイズが関わっていたからだ
「しかし生まれ変わっても変わらずの愛らしさ……背負っている生徒を蹴り飛ばして、俺が背負いたかった!」
「シン…そろそろ次の生徒が入ってくる。そろそろ落ち着け…」
これから2人は、シンの暴走を止めていかないといかないといけなくなるだろう…確実に…
「自信が無いよ…」
頭を抱えるスレイの肩に手を置き、ホムラは微笑んだ
「前のように戻っただけだろう。同じようにしていけばいい」
「そうだ…ね…」
ホムラの言葉に、スレイは表情を暗くする
そう言うホムラは知らないのだ
止めることができなかったから、シンはノイズを殺してしまったということを…
あの時のことは忘れられない
冷たくなったノイズを抱えて泣き叫ぶ勇者を見つけた時、僕は絶望したんだ…
「もう、あんな思いはたくさんだよ…」
あの悲劇は僕のせいで起こった
もう二度と、2人にあんな思いをさせない
そうスレイは強く心に誓うのだった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 41