アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(5)
-
「じゃあ、困ったことがあったら言ってね!」
スラリンが出ていくと、真っ先に荷物の山にあった小さな箱を手に取り、蓋を開ける
すると箱の中から、4匹の妖精が大騒ぎして出てきた
『『やっと出られたぁ~~!!』』
『狭かったぁ~~!!』
『暗かったよぉ~(泣)』
伸びをしたりして文句を言う妖精達を無視し、箱を片付ける
そんな態度が気にくわなかったのか、妖精は髪を軽く引っ張ってきた……地味に痛い…
『ねぇ、聞いてる~?』
「お前達がどうしても来たいと言うから、窒息したり、外にばれたりしないように色々魔法をかけた箱を用意したんだ。感謝されるならまだしも、文句を言われる筋合いは無い」
『だって寂しいもん!心配だし!』
『そうそう!』
言い返すと、不満を倍にして訴えてくる妖精達…
寂しいのはいいけど、心配…?一体何を心配しているんだ?
『クリア、聞いてる~~?』
「分かったから少し待ってろ」
こういう状態になった妖精は、面倒でもちゃんと付き合ってあげないと更に面倒になる
両手に魔力を集めて、パンッと合わせる
【我が声が届くのなら帰る場所へ戻りて眠れ。眠る場所が無くなる前に】
途端に部屋の空気が重苦しいものに変わった
「行け」
荷物に向けて言葉を放つと、荷物はフワッと浮かび、勝手に荷ほどきを始める
そして服はタンスに、制服はクローゼットに、本は本棚へと片付いていく
妖精達は呆れたように此方を見た
『また魔法に頼る……』
『それじゃあ、いつまでたっても体力がつかないよぉ~』
その言葉に、先程歩けなくなり背負ってもらっていた俺は何も言えなくなる
『クリア、聞いてるの〜?』
「……明日から毎朝散歩することにする」
『足りない!!』
『今日から!』
『1日二回は散歩する!今日の夜から!!』
「……うぅ…」
『『『『唸っても駄目!!!』』』』
その後、なんとか一回に減らしてもらおうと説得したのだが失敗に終わった
**********
部屋が片付いたので、私服を手に取り着替える
そんな俺の周りを妖精達は飛びながら聞いた
『何処かに行くの?』
「お節介爺さんと、友人になりたいという物好きに逢いに行く」
面倒だけどしょうがない
すると、また妖精達は騒ぎだした
『『『『一緒に行きたい!』』』』
「…………え?」
『学園の中を探検したい~!』
『探検だぁ~~♪』
「………………」
妖精は魔力の塊で、声を聞き取れる人がいたとしても姿が見える人は、“視る” 能力を持つ俺以外に誰もいない
しかしだからと言って連れ出すのは気が引ける
「悪戯しないか?」
『『『『うんっ!!』』』』
「妖精王とお前達の神に誓ってか?」
その質問に、妖精達は顔を見合わせ、悲しそうにしながらも誓った
『『『『誓います』』』』
悪戯する気まんまんだったようだ…念の為に聞いてみて良かった
----------------------
-オマケ-
寮に向かう途中、ふとスラリンに疑問をぶつけた
「闇寮って色んな仕掛けがあるって聞いたけど、何があるんだ?」
「あぁ、それね。沢山あって正直僕も全部を把握してるわけじゃないんだけど……例えば…」
スラリンは、階段の近くに置かれていた像の首をグルリと回した
するとカチッと音がして、階段がエスカレーターのように動き出す
「他にも隠し扉とか、外に続く秘密の通路とか、色々あるよ」
「へぇ~」
面白い…!
目を輝かせながら仕掛けを弄っていると
「あっ!それは駄目ぇ!!!」
ガコンッ
ゴドッ!という重い音が遠くから聞こえ、何かが転がる音と悲鳴が近づいてきた
嫌な予感がしたので急いで2階に避難すると、先程までいた場所を生徒二人と、その生徒を追いかける巨大な岩が通り過ぎていった
「……今のは?」
暫くの沈黙の後、スラリンはそっと顔を背けてこたえた
「……仕掛けの中には落とし穴とか、天井から刃物が落ちてきたりとか、そういう危険なものもあるんだよね…」
何故そんな仕掛けが?
何かが潰れる音と、岩が壁に激突する派手な音が屋敷全体に響きわたる……
「……可哀想に」
「言っとくけど、動かしたのはクリア君だからね」
1人と1匹は、潰されたであろう巻き込まれた憐れな生徒二人に黙祷を捧げたのだった
※他の生徒による救出、迅速な処置、そして保健室への速やかな搬送で生きています!死んでません、生きています!(大事なので2回言いました)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 41