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「なんちゅー格好を!?肩は出とるし、ほそっこい腕やすらっとした太股は出とるし、腹は出とるし!肌、白くてなんかエロイっ!!」
食堂近くの待ち合わせ場所…そこで待っていたツバサのまさかの第一声に、口元が微かにひきつった
「…まさかいきなり暴言を吐かれるとは思わなかった」
「心配しとるんや!」
なんでそんな格好をするんや!男子校やで!?と、よく分からない事を言いながら、ツバサは着ていたパーカーを脱いで俺に被せてきた
男子校なら尚更大丈夫じゃないかと抵抗しながら訴えると、分かってない!と怒られた
そして無理矢理着せられたのだが、体が一回りも違うので服に着られた感があり、手は袖の中に隠れてしまった
重い…動きにくい…
ズモモと暗いオーラを出していると、ツバサが鼻と口を手で隠して震え始めた
「ぐっ///// …今度は萌え度が上がってしまったけど、しゃーない!さっきのよりは断然マシや」
正直に言おう…若干ひいた
**********
大きく豪華で重厚な食堂の扉は、魔力を籠めれば勝手に開くようなので、手を翳そうと手を伸ばす
すると突然廊下の角の方で、バサバサッという大量の紙の音と、ドサッという何か重いものが倒れたような音が聞こえた
「「何だ?」」
互いに顔を見合わせる
すると、好奇心で先に様子を見に行っていた妖精達が慌てて戻ってきた
『大変!生徒が倒れてる!』
『魔力がクウリュートにどことなく似てる子なの!』
「クウ!?」
妖精達の言葉に慌てて向かうと、散らばった紙の上にクウが倒れていた
「しっかりしろ!」
「書記様やないか!?大丈夫か?」
慌ててクウを ‘’視た‘’ 俺は、あまりの酷さに言葉を失った
人前では自らの顔に幻覚の魔法をかけていたのだろう……でなければ、こうなる前に周りが騒いでいた筈だ
その顔は何日もまともに休めていなかった為隈が濃く、病人のように窶れていた
しかももっと悪いことに、疲れた状態のまま魔法を使っていた為、魔力が底をつきかけている
つまり簡単に言うと、今まさに死にかけている状態だった
「早く保健室に連れていこう!」
強引に幻覚の魔法を解くと、クウの顔を見てツバサが慌てだす……が、そんな時間は残念ながら無い
今すぐに何とかしないと…
その為には、自分の魔力を相手に分ける魔法を使う必要があるのだが、この魔法は補助魔法の1つだった
「俺は補助魔法が使えない…」
どうしようと唇を噛み締めて固まっていると、俺の肩をポンとツバサが叩いた
「その魔法なら俺使えるわ。俺がやる」
「本当か!?」
「あぁ。けどな、俺のアレやからな。文句言うなよ」
クウに両手を翳す
【月光を浴びし魔の水よ、我の器から彼の器に流れ込め。乾いた器を満たして巡れ。まだ彼の側に居られるように】
瞬間クウの目が開き、バッと両手で口を抑えた
何かを必死に探すクウに、ツバサは袋を差し出す
「ほい、エチケット袋」
「今何処から出したんだ?」
その言葉に聞く前に、クウは袋をひったくり顔を埋めて……
「おぉぉえぇぇぇぇぇぇ~~」
「……」
顔を真っ青にして嘔吐するクウの背を摩りながらツバサを見る
ツバサはスッと目を逸らした
「コントロール出来へんからって言ったやないか」
「アレだとしか言ってないぞ?」
「おぉぉえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~」
涙目で嘔吐し続けるクウが可哀想で、俺は首の後ろに手刀をおとした
「おぉい!?何しとんねん!!」
「気を失った方が楽かと思った」
「逆に危険じゃ!!誤飲して窒息したらどうするんや!」
「そうなのか!?起きろクウ!!」
「揺するなぁ!!!」
ツバサは額を抑えた
このままでは優しさで書記様を殺してしまう!!
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