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「永久起きろー」
「‥‥」
「小学生はもう帰宅する時間だぞ」
「‥うそ」
「残念ながら本当」
「‥‥」
小学生の帰宅時間って‥5時だろ?17時だろ?
腕枕の為、稔さんの肩に合わせて掛けられた布団は俺の頭までをスッポリと覆う。
布団からもぞもぞと顔を出して時計を見ると本当に5時だった。
「それ可愛い。もう一回やって」
「‥は?」
「なんか‥こう‥冬場の小動物が寝床からちょっと顔出した感じ」
「‥枕取るからだろ」
「腕枕してるだろ?」
「‥話し噛み合ってないよね?」
いい大人が自由人過ぎるような気がする。
でもこの自由人は暖かい。暖かいから布団を被り直す。
ああ‥ただ布団が暖かいだけか。
「俺以外の誰かの前で泣くなよ?」
「‥は?」
額を胸元に擦り付けるようにまどろむと、上から声が聞こえて顔を上げる。
「あ、それも可愛い。布団似合うね」
「全然嬉しくない」
「はは。‥はあー‥」
ぎゅっと。
腕枕されたまま抱き締められ、ぐっと近付いた稔さんの胸元。
長い溜め息は疲れからか呆れたからか‥分からなかった。
「永久はさ‥普段‥涙とは無縁みたいな顔して澄ましてるだろ」
「‥」
「そのクセに俺の前では何の躊躇いもなく泣く。嬉しいよ、だから誰かの前で泣かないで。永久の涙は俺だけのモノだ」
「‥」
別に澄ましてるつもりなんてない。お喋りな誰かさんの口のせいでそんな突っ込みは飲み込む。
「聞いてる?」
「‥俺の涙は俺のだろ」
「違う。永久の涙は俺のだ」
「‥」
「嫌って言っても俺のだ。だから悲しくて、嬉しくて、感動して‥泣きたくなったら俺んとこ来い」
「‥迷惑‥だろ」
「迷惑じゃない」
「‥」
「昨日も永久が泣いてると思ったから来たんだ」
「‥意味分かんねえ。テレパシー?オカルト?」
ふてくされたような声になってしまった。
稔さんと話してると考える前に言葉が出る。
素直じゃない俺ばかりだけど、それはそれで分かり易いんじゃないかと思う。
「あー‥テレパシー‥」
「いや納得しないで?」
この人本当に教師?
いや、でも学校での稔さんもキャラ違うからなー‥
学校じゃ出来る男だし、こんな阿呆っぽくない。
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