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「おー‥上がったか。冷めるから早く食え」
「‥」
風呂から上がると目の前には俺の葛藤を知るはずもない呑気な後ろ姿
うん、蹴り飛ばしたい。
「‥」
ぐっと堪えてテーブルに並べられた牛丼の前に座る。
ちなみに稔さんはもっしゃもっしゃと既に牛丼を胃に詰め込んでいた。
「‥」
「なに?」
もぐもぐと口を動かしながら見つめられたので、割り箸を割ながら聞いてみると、ニヤリと笑み。
「俺の‥使ったな」
「‥いい匂い‥だから」
嘘。
稔さんのシャンプーを使ったのは、してやられた感への反抗心から。
「‥へえ?」
余裕な笑みが俺を見つめたまま離さない。
ここで乱されたらせっかくの嘘が台無しだ。無表情での対応をしなければ‥
「もう使わないから」
「いや、使っていいよ」
「‥じゃあ見るの止めてくれません?食べにくい」
稔さんのペースに乗せられないようにあくまでも素っ気なく。
「‥」
「ねえ、覚えてる?」
「?」
「俺のシャンプー切らしてた時‥永久のシャンプー使ったけどその時もお前俺にいい匂いって言ってた」
「‥いい匂いだからじゃん?」
「‥」
「何が言いたいんだよっ」
居心地の悪い沈黙とにんまり顔に何だかいたたまれない。
「何も言ってないだろ?」
「言ってんだろ!顔が!」
「いや、ちょっと顔赤いなと思って‥」
くっそーっ!
なんでこの人相手だとこうも乱されてばかりなんだっ
心外だっ!
屈辱だっ!
「俺で遊ぶなっ!」
「だって可愛くないから、弄りたくなる」
「可愛くなくていいだろ男なんだからっ」
「えー」
「えーって言うな!えーって」
「だって永久弄りは俺の生き甲斐だしだしなあ‥」
「‥そ、そんなに?」
ふー‥と煙草の煙を吐くように悩まし気に息を吐く稔さんに少し戸惑う。
「今の永久は可愛い」
「ホント意味分かんね。もー勝手にして」
別に可愛いって言われても嬉しくないし。一気に冷めた気がする。
あー‥牛丼うまい。
空っ腹にしみるぜ‥
「弄られたくないなら素直になればいいんじゃない?」
「‥?」
「試してみる?
今からする質問に素直に答えるだけ」
「別に‥いいけど」
可愛くないから弄る。
素直になれば可愛いので弄られないという事か?
可愛いと言われたい訳じゃないけど、確かに素直じゃないと思う事はあるから‥まあ付き合ってやる。
「シャンプーいい匂いだった?」
「それ何か関係あるの?」
「いいからいいから」
「別に‥いい匂いだったよ」
「どんな匂い?」
「え、表示見てないから分かんないよ」
「永久の感想を聞いてるの」
俺の感想?
シャンプーを使った感想?
「悪くない‥かな」
「他は?」
「他って‥」
「何で俺の使おうと思った?」
「‥」
「答えて?」
「風呂入ったら‥稔さんの匂い‥して」
「‥」
「だから‥。」
「‥」
「‥‥」
「糞可愛い。」
「え?何か言った?」
「なんも」
ぼーっとしてしまい聞き逃してしまったから稔さんが両手で顔を覆ってる理由が分からない。
「んじゃ、もう一個質問ね」
「なに?」
咳払いをして俺を見つめる稔さんを見つめ返す。
「俺と結婚しない?」
「無理」
「チッ。駄目か‥」
チッて言ったねこの人。
舌打ちしたよねこの人。
流れで言わせようとしたな
「だいたい俺18じゃないから結婚出来ないし。それ以前に同性同士の結婚は法的に無理だし‥」
「‥」
「な、何?」
目がキラキラしてるのは気のせいか?
この目は‥誰かと被る気がする‥デジャヴ?
「そんな事考えてくれてたんだな!ただ単に無理って言ってただけかと」
「いや‥常識だろ」
「いや俺ちょっと感動した。真面目に俺永久をお嫁に貰うわ!」
「‥」
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