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「‥俺、今まで稔さんを‥沢山傷つけてきた」
今まで稔さんがどんな気持ちで居たかなんて想像も出来ないけど‥俺だったらきっと不安でたまらなくなる。
「沢山‥辛くさせて‥ごめんっ」
「永久、俺の事はいいから、俺は大丈夫だから泣くな」
「‥ん、違‥稔さっ」
「‥」
「待たせてごめん‥沢山、待ってくれてっありがとうっ」
「っ‥」
伝えられない気持ちがこんなに辛いなんて知らなかった
触れられる距離に居るのに触らない
伸ばそうと上げた手は何も掴まないまま握り締めて
そんな距離がたまらなく寂しくて
たまらなく‥アナタを愛おしくさせた
遊びでも良かった
遊びと捉えて用済みになったらさようならだって良かった
でもそうしなかったのは
そうできなかったのは‥
自分の気持ちに嘘を吐き隠し続けたのは
それだけ‥俺の気持ちが最初から本気だったからなんだ
「選ぶよっ‥俺選ぶ」
「永久?」
「俺、選ぶ。稔さんを‥選ぶ」
沢山待たせてしまった
選んじゃいけなかった
でももう‥俺
限界だ
「稔さん‥好きっ好きだよ、俺は‥稔さんがいい。稔さんを、選びたいっ稔さんが‥好きだからっ」
「っ」
「稔さんの幸せ‥欲しいよっ。稔さんの持ってる‥1人分の幸せをっ俺に頂戴っ俺が欲しいっ‥だから」
言えなかった言葉が稔さんの背中に入っていく。
ポロポロと
止まらない涙と一緒に‥稔さんへ届いて行く
俺の言葉で俺の口から俺の想いを‥
「っ!?」
目をぎゅっと閉じて息を吸う。最後の言葉を届ける為に、口を開けて一段と大きな粒がスルスルと頬を滑った時、稔さんが振り向いて視線を合わせてきた。
「待って、俺に言わせて?」
「え?」
真面目な顔で俺の肩に両手を置いて。
「‥永久。
俺と‥結婚を前提に付き合って下さい」
「‥‥」
「‥好きだよ、永久」
「‥っ‥稔さっ」
俺を見る瞳があんまり優しく揺れ動くから‥目が反らせない。
胸がいっぱいでズキズキする。怖いくらいに‥体の芯が震えて痺れて、全身でアナタの事が好きだと訴えてる。
「返事は?」
「っん‥付き合うっ」
ボロボロと零れる涙は悲しいからじゃない。嬉しいから。
俺をぎゅっと抱き締めてくれた稔さんは胸を上下させて深く深呼吸をした。
「‥やっと、俺のになったね」
「‥」
「やっと‥彼氏面できる」
ははっと笑った稔さんの声が震えていて顔を上げる。
「‥稔さん」
「‥ごめん、ちょっと‥ごめん。駄目だっ」
「‥」
俺の肩に頭を乗せ抱き付くように抱き締める。
出来るだけ優しく全てを包みたいと‥願いを込めて背中に回した手で服を握り締めたのは、一瞬見えた稔さんの頬が濡れていたからだ。
「ごめん‥凄い嬉しい。」
「‥稔さん‥好き」
「‥ん、俺も‥永久が好きだよ」
「好き‥稔さん。‥好き」
「永久‥絶対幸せにする」
好きと‥言葉にしただけでこんなにも満たされるのは何でだろう。
自分の発した好きが‥すっと染み込むように心地いいのは何でだろう。
「俺も‥稔さん幸せにする」
「‥期待してるよ」
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