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こんなにも‥
満たされた気持ちで目が覚めたのは初めてだと思う
夢の続きのような微睡みの中、腕の中で寝息を立てる永久の体温を確かに感じて頬が緩んだ
「おはよ‥」
「‥起きてたの?」
タイミング良く目を開けた永久の声はまだ少し眠そうで可愛い
「ん、ちょっと前に起きた」
「俺は今起きた」
「知ってる」
「‥」
割と近くで‥鳥の鳴き声が聞こえて平和だな、なんて幸せを噛み締めながら
「なあ永久」
「ん?」
「幸せって怖いな」
「‥俺も同じ事思ったよ」
「‥そうか」
幸せなんて渡したり渡されたりする物じゃない。自分の中に芽生える物で、限りなく無限に生まれる可能性だってあるだけだ。
そんな不確かで不安定な物を‥彼にあげたいと思ったのは、やっぱり自信があったのかもしれない。自分の変わらない想いと彼の中の気持ちに。
ハッキリ言えるのは‥永久が居て初めてこの幸せを感じる事が出来たという事。
永久が居なかったら感じる事の無かった幸せだから‥だから幸せを貰ったような気持ちになるのかな。
きっと幸せなんて、それすらも自分勝手なのだと‥思わずにはいられない。
自分の中で勝手に膨らんでは勝手に萎んで‥本当に幸せは自分勝手だ。
そう‥俺の勝手
俺の気持ち次第で
俺の全てで
俺が自分勝手なのだ。
「訂正。やっぱり全然怖くないわ」
「‥ふーん」
「怖くないよ。自信あるし。」
「稔さんて基本自信家だよな‥」
そうかもしれない。
結局の所、隅の方には永久を手に入れる自信があった。でも誰だってそんなもんだろ?ただ一般的な物よりも俺の自信が大きかっただけで。
「自信あるんだ、仕方ないだろう?」
「‥尊敬するわ」
「永久だってなれるよ」
「?」
興味有り気に布団の中から顔を出す永久に思わず笑みが漏れる。
「俺の事好き?」
「‥ん、好き」
素直じゃない永久は可愛くないから苛めたくなるけど、素直な永久は可愛いから苛めたくなる。
要するにだ。
顔を赤らめて素直に好きと言った永久に息を呑んだ俺が与える選択肢は1つ。
「じゃあ俺を信じたらいいんだよ」
「?」
「俺は‥俺の気持ちを信じてる。永久の気持ちも信じてる。」
「‥」
「だから俺の気持ちに自信があるし永久の気持ちに自信がある」
「‥何それ、意味‥分かんない。やっぱ稔さん、腹黒いから嫌い」
再び布団に顔を隠す永久を逃がしはしない。選択肢は1つしかあげてないから。
「っ!」
「手本が居たからね」
「て、手本?!」
「そ、高校の時の先輩に欲に忠実な人が居てね」
永久を抱き締め布団から引きずり出し体制を整えてから覆い被さる。
「稔さん以上にっ、欲に忠実な人なんて存在するんですかっ」
「残念だけど欲属の下部なんてそこら中にゴロゴロ居るよ。」
味わうように首筋に舌を滑らせ足の間に膝を入れる。
以前から欲に忠実な自分ではあったけど。永久を好きになって、許されない欲にすら1人でも立ち向かいこんなにも手を尽くす人間だったのだと知った。
今ならあの先輩の気持ちも良く分かる。今や俺もその仲間入りを果たしたという訳だ。
「その先輩‥最低っ」
「永久だって欲まみれだろ?」
「んっ‥それは、違っ」
甘い雰囲気を全開にしたおかげでやんわり勃ち上がったそこに膝を擦り付ける。
格好良い大人になりきれない俺は、格好悪く永久に愛し続けたい。
残念な程優しくて純粋な‥俺の愛して止まない
「永久‥」
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